令和6年度施政運営方針
令和6年2月28日に再開した大阪狭山市議会定例会3月定例月議会初日で発表した施政運営方針です。
施政運営の基本方針
令和6年、元日の夕刻に、石川県能登地方を震源とする最大震度7の大地震が発生し、広範にわたり甚大な被害をもたらしました。改めて、この度の震災で犠牲となられました方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災され、厳しい生活を余儀なくされておられる方々に心よりお見舞いを申し上げます。
地震災害や土砂災害、風水害など、全国各地で起こる数々の災害を目の当たりにするにつれ、自然の脅威を改めて痛感させられます。大切なのは、いつ訪れるともわからない自然災害への備えを平時から整えておくことであります。
大規模災害発生時には、自助・共助の観点が極めて重要であることに鑑み、まずは、自然災害に対する市民の皆様、地域の皆様の防災・減災意識をより一層高め、平時からの備えを万全にしていただけるよう、周知や啓発に引き続き取り組んでまいります。
また、住宅や公共インフラの耐震化の促進、集中豪雨による浸水被害の軽減に向けた雨水整備をはじめ、備蓄品の安定確保や、災害発生時における市役所機能、とりわけ初動対応能力のさらなる強化にも取り組むなど、ソフト・ハードの両面で、市民の皆様の生命と財産を守る対策に、今後ともしっかりと取り組み、災害に強いまちづくりを進めてまいります。
今なお続く物価高も、暮らしや事業活動に大きな影響を与えています。折しも政府は、昨年11月に総合経済対策を決定し、13兆円余りの大型補正予算を組み、足元の物価高から国民を守る対策に万全を期すとともに、人口減少を見据えた社会変革を起動・推進するためのデジタル行財政改革や、子ども・子育て支援など、総合的な経済対策に取り組んでいます。
本市においても、低所得の方々への支援として、非課税世帯や市民税均等割のみ課税世帯への給付金支給等に一早く取り組んでおり、今後の定額減税や減税しきれない方々への給付に向けても、鋭意準備を進めているところであります。
さらに市独自施策として、市民や事業者の皆様の生活や活動を広く支援できるよう、市内の加盟店で使える「さやりんポイント」を活用した消費下支えによる生活者支援策の追加実施や、新たに、中小企業等に対するエネルギー価格高騰対策支援にも取り組むこととしています。
令和6年度の市政運営におきましても、社会動向を見据えながら、市民や事業者の皆様に寄り添い、日常生活や諸活動をしっかりと支えてまいります。
次の時代を生きるのは、未来ある子どもたちです。子どもはまちの活力の源であり、将来の担い手となる社会の宝であります。今を生きる「現世代」が自覚と責任をもって子どもを守り育て、将来に明るい希望がもてる社会を築き上げたうえで、「次世代」にバトンをつないでいかなければなりません。子育て世代が安心して出産や子育てができるまち、「子育て先進都市」としてのさらなる高みへの挑戦は、本市まちづくりの最優先課題の一つであり、今後とも全庁総がかりで取り組んでいく覚悟であります。
本年4月1日から、児童や妊産婦の福祉、母子保健における相談等の支援体制をより一層強化するため、「大阪狭山市こども家庭センター」を子育て支援・世代間交流センター“UPっぷ”内に設置し、子育て支援拠点としての機能を充実させます。
親の孤立や児童虐待の防止をはじめ、出産や子育てに対する不安や悩みの解消に向けた相談体制の強化を図るとともに、特に支援を要するご家庭には、相談支援と一体となった家事支援や育児サポート等、アウトリーチによる訪問支援にも取り組むなど、社会全体で育児する視点に立って、妊婦や子育て家庭に一層寄り添いながら、子育て支援にしっかりと取り組んでまいります。
子育てする親や家庭にとって、子どもの教育は大きな関心事の一つであります。勉強のこと、学校生活のこと、教育に要する費用、子どもの将来など、皆様が抱える不安や悩みも尽きないことと思います。
本人はもちろん、保護者の皆様の声も丁寧にお聞きし、お子さんを安心して園や学校に預けていただける環境や体制のより一層の充実を図りながら、市をあげて、子どもたちの確かな学びと健やかな育ちをしっかりと支えてまいります。
令和7年度の制度完成を目途に、段階的に進めております小中学校の給食費の無償化につきましては、現行の3学期分に、さらに2学期分を追加し、合計7か月分を無償化の対象といたします。食べる力は生きる力となります。食育の推進と併せ、教育にかかる経済的負担の軽減に、今後とも取り組んでまいります。
変化が激しく、不確かな時代。なればこそ、広範かつ多角的な視点で、自らが学び、主体的に判断し、行動していく資質や能力がこれからの人材には求められます。
学校を取り巻く環境では、地域と学校がともに子どもの成長を支え、地域とともにある学校づくりをめざす「コミュニティ・スクール」の仕組みが、令和6年度をもって、市内の全小学校で整うこととなります。また、今月初めには、地域学習を教育課程のなかで独自に編成・実施できる「教育課程特例校」の指定を、市内全小中学校を対象に文部科学省から受けたところであります。
こうした教育環境のもと、地球規模の視野と、草の根レベルの地域視点、その双方の視野・視点に立って、地域社会や世界で活躍できる人材、グローバルとローカルを掛け合わせた、いわば「グローカル」な人材の育成をこれからの保育・教育がめざす方向とし、「コミュニティ・スクール」や小中一貫による教育カリキュラムの実践を軸とした、英語教育や地域学習のさらなる充実、部活動の地域移行に向けた取組みなど、地域と学校が一体となった教育の推進に注力してまいります。
また、若者による「教職員離れ」が深刻化する昨今、教員の人材確保や育成は急務であります。教育の質をより一層高めていくうえにおいても、学校現場を、若い世代にも働きやすく、より魅力ある職場にしていく必要があります。児童・生徒に対する効果的な教育・指導はもとより、教員のさらなる負担軽減にもつながるよう、教育DXの推進を含む教育環境の充実に取り組んでまいります。
ご承知のように、コロナ禍を経て、社会の変容は大きく進んでいます。本市を取り巻く環境もしかりです。時々刻々と変化する環境を的確に捉えたまちづくりは今後も欠かせません。
多様な考えや価値観のもと、新たな着想も得ながら、強い覚悟をもって、「リメイクによるまちづくり」を進めてまいります。
近年、市域各所において、住宅開発が盛んに進められており、子育て世代を含め、さまざまな世代の方々が、暮らしの場として本市を選んでいただいています。暮らす人の姿や暮らしぶりが、時代の移ろいのなかで変遷をたどるなか、都市機能を支えるまちの各拠点もその姿を変えようとしています。
中心市街地拠点に位置付けております、金剛駅周辺エリアにおきましては、長年、市民の消費生活を支えてきた商業施設の一つである、イオン金剛店が閉店し、跡地における新たな商業施設の建設が進められております。市といたしましても、これに並行して、周辺の歩行空間の整備や、施設西側にはバス停留所の設置など、周辺環境の整備を進めているところであります。
また、施設内では、住民票などを発行できるマルチコピー機や、市の魅力情報を発信するためのデジタルサイネージの設置をはじめ、さやりんグッズなどの販売、予約図書の受け取りや返却など、公民連携による市民サービスのさらなる充実が図れるよう、協議・調整を進めております。
今回の新たな商業施設のオープンを機に、周辺の生活利便性のさらなる向上はもとより、本市の玄関口ともいえる金剛駅から施設の周辺、さらにはその先の「狭山池」へと、人の流れが生み出す新たなにぎわいをもって、「居心地が良く、歩きたくなるまちなか」の形成に大きな弾みを付けてまいりたいと考えています。
また、みどりの拠点の中心でもある「狭山池」の周辺エリアでは、国史跡狭山池の附(つけたり)として、「池守田中家旧宅」が追加指定を受けました。これにより、本市が誇る歴史文化遺産を活用したまちづくりの新たな可能性が広がりました。史跡の本質的価値を守りながら、まちの新しい観光資源の一つとなるよう、地域の皆様とともに、その保存と活用に向けた取組みを進めてまいります。
近畿大学病院等周辺のエリアにおいては、近畿大学病院移転後の後継医療機関候補が明らかになったことを受け、跡地における新たなまちづくりに向けた取組みは、次のフェーズへと移行してまいります。後継病院の円滑な開院に向けた協議・調整はもとより、今後見込まれる跡地での開発協議や調整を加速させ、狭山ニュータウンの再生・活性化、ひいては本市全体の発展に寄与する良好な土地利用となるよう、引き続き、関係各所と連携し取り組んでまいります。
学校園など教育施設を含む公共施設におきましては、全体的に老朽化が進み、景観面の変化のみならず、機能面においても、その維持が課題となっております。とりわけ、福祉・文化拠点と位置付けております今熊地区周辺エリアにおきましては、特に老朽化が著しい公共施設が集積している状況となっております。
今申し上げたような都市環境等の変化により、顕在化する市民ニーズや課題、あるいは、まちづくりの新たな可能性なども見据えたなかで、学校園の適正規模・適正配置を含む公共施設の再配置など、全市的取組みとも融合を図りながら、住居や都市機能の誘導、公共交通ネットワークの形成等を軸とした「コンパクト・プラス・ネットワーク」の視点で、まちの魅力を一層高めてまいります。
次に、社会福祉についてであります。人口構造や社会構造の変化に伴い、人々が抱える課題も複雑化・複合化するなか、近年では、福祉サービスの内容も充実・多様化が進んでいます。こうした社会環境の変化等を踏まえ、サービスが充分整備されていない時代における「個人給付」を基本とした福祉施策から、社会全体で支え合う視点のもと、高齢社会や新たな福祉のニーズに対応する施策へと転換を図ります。真に必要なサービスが、必要な時、必要な人へしっかりと行き届くよう、より安心できるまちの実現に向けた福祉施策の再構築を行い、これを着実に実行してまいります。なお、上下水道料金の基本料金に対する福祉減免制度の見直しにあたりましては、一定の激変緩和措置を講じることとし、併せて、対象となる方々への丁寧な対応に努めてまいります。
これら重要施策を効果的に推し進めていくためにも、各行政分野における事務処理体制や政策マネジメント体制の強化等を目的とした市役所組織のリメイクを行い、令和6年度から新たな体制のもとで市政を推進してまいります。
もちろん、市役所組織を変更いたしましても、その中心に職員がいることに何ら変わりはありません。「組織力」を生み出すのは「人」であり、そういう意味では、組織機構はあくまでフレーム(枠組み)でしかありません。その組織体制のもと、職員が共通の目的や理解をもって、機動的かつ柔軟に諸課題に対応できる職場環境が整っているのか否か。果たすべき命題に職員が意欲と誇りをもって、一丸となり取り組むことができる組織風土であるのか否か。これらを常に問い続け、追い求めなければなりません。良好な職場環境と組織風土が築かれ、職員一人ひとりが働きがいや喜びを感じながら、自律的に職務に精励していくことができる組織であってこそ、その真価は発揮されていくものだと、私は確信しています。
こうした強い思いのもと、今回の組織改編と併せ、今後の人事関連施策を効果的に実行していくための指針として、「人材確保」、「人材育成」、「適正配置」、「職場環境」の4要素を有機的に結び付けた「人事戦略プラン」を策定し、そのうえで、令和6年度から、現状における組織、仕事に対する職員の貢献意欲(いわゆる「エンゲージメント」)の度合いや組織状態の可視化に取り組み、その分析結果等も踏まえ、職員がより一層意欲的に働くことができる組織づくりを進めてまいります。
市民の皆様の幸せを願い、声なき声にも真に応えることができる市役所、そして、職員が心身ともに、よりいきいきと活躍できる職場となるよう、私自身が先頭に立って、進取果敢に取り組んでまいる決意であります。
昨年末、「国立社会保障・人口問題研究所」による令和2年の国勢調査を基にした地域別将来推計人口が新たに示されました。本市では、前回の平成30年推計人口を上回る結果となり、この間の「子育て先進都市」の実現に向けた堅実な歩みが、成果として実を結んだものと受け止めています。一方で、将来的な人口減少は避けがたく、市民サービスを維持していくための人材や財源の確保、地域活性化の取組みは急務であります。
本市では、令和2年3月に策定いたしました「大阪狭山市行財政改革推進プラン2020」のもと、より効果的で効率的な行財政運営に取り組み、一定の効果額を確保するなど、成果を得てまいりました。この度、プランの計画期間が令和6年度末をもって満了を迎えることとなりますので、この間の取組状況や取り巻く環境の変化等を踏まえたうえで、今後の取組みの指針となる「(仮称)大阪狭山市行財政運営戦略大綱」を策定し、本市の行財政運営のあるべき姿を示してまいります。併せて、大綱が定める理念に沿った具体的な取組みにつきましても、新たなプランとして取りまとめ、お示しいたします。
人口減少社会にあっても、まちの発展が遂げられるよう、持続可能な行財政運営の推進を基本に、デジタル技術の活用や、広域連携、公民連携などさまざまな手法や仕組みを取り入れながら、生涯住み続けたいまちの実現に、全庁一丸となって取り組んでまいります。
それでは、「第五次大阪狭山市総合計画」の施策体系に沿った形で、令和6年度の主な施策の概要を申し上げます。
まず、「子どもや若者の未来が輝くまちづくり」に関する施策について、でございます。
安心して子育てができる環境づくりでは、冒頭にも申し上げたとおり、「大阪狭山市こども家庭センター」を、子育て支援・世代間交流センター“UPっぷ”内に設置いたします。児童虐待事案の未然防止や早期発見、的確な初動に万全を期すとともに、出産や育児に不安や悩みを抱える方々に、妊娠期から切れ目なく寄り添いながら、これまで以上に、丁寧かつ親身になって対応できる体制を構築いたします。
そのうえで、特に、支援を要する子どもや保護者、妊産婦の方々へは、家庭への直接訪問による相談支援や家事支援、育児サポート等が一体となった支援制度を創設いたします。
一定の所得未満のひとり親家庭や障がいを持つお子さんを養育する世帯へは、家計への負担を軽減するため、「さやりんポイント」を活用した支援策を新たに実施いたします。
また、妊婦が経済的理由により産科受診を控えることがないよう、低所得者を対象に、初回受診に要する費用の一部を助成することで、誰もが受診しやすい体制を整備いたします。
さらに、既存の対面による方法では行き届かなかった支援の隙間を埋める一助となるよう、SNS等を活用したオンライン相談体制を重層的に敷くことで、夜間・休日を含め、いつでも、誰もが、気軽に、産婦人科医や小児科医等に対し、妊娠や出産、育児について相談できる環境を整えます。
乳幼児健診においては、出産後から3歳6か月に至るまでの間、子どもの成長に応じて切れ目なく実施しているところでありますが、特に、学校での集団生活が始まる就学前の機会を捉え、精神発達や言語発達の状況把握により、発達障がいや育児上の課題を早期に発見し、支援にもつなげていけるよう、5歳児健診を新たに追加することといたします。
就学前教育・保育のさらなる充実に向けては、全国的に課題となっている保育士不足を解消できるよう、民間保育園や認定こども園等に対し、負担軽減のための支援員の配置を支援し、処遇改善を図ります。
また、民間園のICT化を推進するため、保護者との連絡システムやキャッシュレス決済システムの導入を支援し、保護者の利便性を高めてまいります。
今後のより質の高い就学前教育・保育や、子どもの貧困対策を含めた地域の子ども・子育て支援の総合的な推進に向けては、必要なサービス量や提供体制等の内容を盛り込んだ「第3期大阪狭山市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、計画的に取り組んでまいります。
学校教育においては、「保護者負担の軽減」と「教育環境の充実」の両輪で、各施策・事業を展開してまいります。
まず、「保護者負担の軽減」に向けては、小中学校の給食費の無償化を、さらに2学期分を拡充し、3学期分を含めた7か月分を無償化いたします。
また、食材価格等の高騰により、給食費の値上げを検討せざるを得ない状況のもとではありますが、必要となる値上げ相当分を市が支援することで、現状の給食費を維持してまいります。
加えて、学びのニーズが多様化するなか、誰もが経済的な理由で修学の機会が奪われることがないよう、育英金の貸付対象に通信制高校を新たに追加いたします。
次に、「教育環境の充実」に向けては、ソフトとハードの両面で取組みを進めてまいります。
ソフト面では、子どもを取り巻く課題が多様化・複雑化するなか、試行期間も含め令和4年度から現在に至るまで、大阪公立大学と連携し、AIを用いた“YOSS(ヨース)クラウドサービス”を活用しながら、子どもの状況を把握する取組みを進めてまいりました。この度、同大学がこのシステムをより発展・充実させるため、コンソーシアム(共同事業体)を新たに立ち上げていくことから、本市もこれに参加し、同大学との連携を一層深め、取組みのさらなる深化・充実を図ってまいります。
また、小中が一貫した教育を進めるなかで、英語教育の一層の充実を図ってまいります。これまで、英語運用能力を技能別に測定するスコア型英語能力判定テストを中学校で導入し、子ども一人ひとりの力を丁寧に見とることで、「やりとり」や「発表」を意識した授業が定着してきていると聞いております。さらに、英語によるアウトプット、いわゆる「スピーキング力」を高めていくためには、小学校から計画的に取り組んでいくことが重要であるという観点も踏まえ、大阪府が提供する「英語学習ツール」を全小中学校に導入するなど、子どもたちの英語能力の向上をめざしてまいります。
学習方法のさらなる広がりが期待できる「デジタル教科書」につきましては、英語科において全小中学校で導入しておりますが、算数や数学、その他の教科につきましても、段階的に取り入れてまいります。
さらに、子ども一人ひとりの多様性に合わせた学びをより一層支援していけるよう、義務教育がスタートする小学校低学年期の発達特性を効果的に把握することを目的に、読み書きや認知特性といった基礎スキルを測るICT学習ツールを全小学校に導入いたします。
中学校の部活動の地域移行については、本市にとってどのような形が望ましいのかを見極めていくため、段階的・試験的に取組みを進めてまいります。
未来を担う子どもたちにとって、2025年大阪・関西万博が、未来社会の革新的な技術やサービス等を直に体験できる機会となるよう、本市の子どもを無料招待するため、大阪府と連携して取組みを進めてまいります。
教員の働き方改革に向けては、校務事務作業を支援する「スクール・サポート・スタッフ」を引き続き全校に配置するほか、学校現場で生じる諸課題に対しては、弁護士による法的助言支援が容易に受けられるよう、教員が相談しやすい体制を整備いたします。
次に、ハード面では、教育のデジタル化を進めるにあたり、校内通信環境のさらなる強化に取り組んでまいります。
また、35人学級への段階的移行などにより、今後、第七小学校において普通教室の不足が見込まれることから、通信環境ネットワークの構築を含め、必要となる教室の増設に取り組んでまいります。
夏場の授業時における児童・生徒の安全確保はもちろんのこと、災害で避難される方々への良好な避難環境の確保にも資するよう、すべての小中学校の屋内運動場に大型のスポット型空調機を設置いたします。
経年劣化が進む各学校やスポーツ施設を含む教育施設に対しては、今後の施設のあり方を検討するうえで必要となる劣化調査を実施するとともに、安全で快適に施設を利用できるよう、トイレ環境の向上や空調の整備を含め、必要な改修・修繕を順次進めてまいります。
これら本市の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図ることを目的とした「第2期大阪狭山市教育振興基本計画」が令和6年度末をもって計画期間の満了を迎えることから、この間の社会情勢の変化や課題等を踏まえ、今後の教育のさらなる振興を図るため、次期計画を策定いたします。
次に、「健康でいきいきと暮らせるまちづくり」に関する施策について、でございます。
本市を取り巻く地域福祉の状況や課題、市民や地域で活動する団体などのニーズ等を踏まえ、地域福祉のさらなる推進を図るため、地域福祉のあり方や、市としてめざすべき方向性を定める「第5次大阪狭山市地域福祉計画・大阪狭山市地域福祉活動計画」を策定いたします。
福祉施策の推進にあたりましては、社会環境の変化等を踏まえ、単一な経済的支援から、生活の質の向上を伴う福祉施策への再構築を図ります。
まず、障がい者やそのご家族に寄り添い、必要な情報の提供や相談支援を一層充実させるため、相談支援センターの体制強化を図ります。
また、全国的に増加傾向にある、いわゆる「ひきこもり」の状態にある方やご家族を専門的に支援するため、地域活動支援センターにおける相談体制を強化いたします。
高齢者が安心して暮らせる地域づくりに向けては、地域活動の活発化や高齢者の生活支援、ひきこもり防止などを目的に、まずは、自主的な移動が困難な高齢者を対象として、市民ボランティアが運転する車両による買い物等への移送サービスを試行で実施することといたします。
ひとり暮らしの高齢者等を対象に提供している「緊急通報システムサービス」につきましては、「ひとり暮らし」という要件を見直し、高齢の夫婦や親子など、65歳以上のみの世帯にも対象を広げることといたします。
認知症高齢者等が事故で第三者に損害を生じさせた場合などに負う損害賠償責任を補てんする保険に市が加入する制度では、これまで、主治医意見書による一定の要件を加えていたところでありますが、これを撤廃し、要件を緩和することといたします。
また、万が一、身元がわからない認知症高齢者が市内で発見されても、迅速かつ確実に保護が行えるよう、当該事案の発生に備え、緊急一時的に入所できる施設を確保いたします。
次に、健康づくりの推進では、本市の健康増進事業や食育推進事業の指針として、「健康大阪さやま21(第3次計画)」ならびに「第3次大阪狭山市食育推進計画」を策定いたします。
休日診療につきましては、初期救急医療体制を確保するため、大阪狭山市医師会と連携し、日曜・祝日と年末年始において、15歳以上を対象とした内科の外来救急患者の応急診療を実施いたします。
成人歯科健康診査においては、歯周疾患等の早期発見、早期治療につなげるため、現行制度では、法が定める対象に、市独自の対象も加え、40歳から60歳及び70歳の方を対象に実施しておりますが、新たに20歳、30歳も対象に加えることで、事業効果をより一層高めてまいります。
40歳以上を対象とする国民健康保険加入者の特定健診につきましては、受診率のさらなる向上を図るため、引き続き、過去3年分の健診結果に基づくアドバイス冊子とともに、「さやりんポイント」を贈呈する取組みを実施いたします。
次に、「自然と調和した活力のある快適なまちづくり」に関する施策について、でございます。
快適で魅力ある都市空間の形成に向けては、コンパクト、そして、ネットワークの視点から都市構造をリメイクするための戦略的かつ具体的な方針として、「大阪狭山市立地適正化計画」を策定いたします。
近畿大学病院等移転後の跡地を含む周辺地域においては、都市計画道路の整備と周辺のまちづくりを一体的に実施することで、魅力ある街並みの形成や利便性、価値の向上につながるよう、土地区画整理事業の導入に向けた事前調査を実施いたします。
交通渋滞の解消や歩行者の安全確保に向け、これまで課題となっておりました、府道泉大津美原線の東野交差点の改良や府道河内長野美原線の南海高野線ガード下、以北の歩道確保につきましては、必要となる用地確保のための測量を市が先行して実施するなど、市としても大阪府と連携し、早期の課題解消に取り組んでまいります。
この間、大阪府における西除川河川改修事業と連携し、草沢橋の拡幅、耐震補強工事を進めておりましたが、令和6年度中の完成をめざすとともに、主要幹線道路を含む市道につきましても、舗装修繕等を計画的に進め、より安全で安心できる交通環境を確保いたします。
公園施設につきましても、市民の皆様に、より安全で安心してご利用いただけるよう、地域や利用者のニーズ、安全性を踏まえ、遊具を計画的に更新してまいります。
なお、現行の「大阪狭山市公園施設長寿命化計画」につきましては、令和6年度末をもって、10年の計画期間が満了を迎えることから、この間の国の指針等も踏まえたうえで、内容を改定いたします。
下水道施設におきましても、古いもので築造から50年余りが経過しており、老朽化が課題となっておりますので、マンホールや管渠の改築を計画的に進め、耐震化に取り組んでまいります。
地球温暖化対策では、家庭部門における温室効果ガス排出量の削減を図るため、燃料電池コージェネレーションシステムや蓄電池システム、電気自動車への充電スタンド等を設置した市民に対し、「さやりんポイント」を贈呈し、再生可能エネルギー等の導入を促進いたします。
また、本市の事務事業における地球温暖化対策を取りまとめた「大阪狭山市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」が、令和6年度末に5年の計画期間が満了を迎えることから、この間の取組みや課題等を踏まえたうえで、引き続き、市が率先し、環境への負荷の低減に取り組むため、計画内容の見直しを行います。
物価高騰が続くなか、市民の皆様の消費生活を下支えするため、「さやりんポイント」をチャージすると、その額の1万円を上限に30%のプレミアムポイントを付与する取組みを、令和5年度に引き続き実施いたします。
また、エネルギー価格の高騰により、特に、経営に影響を受けておられる中小企業等の皆様に対しては、影響の緩和を図り、事業の継続を支援するため、電気・ガス料金や燃料費に対する支援金を新たに支給いたします。
次に、「豊かな心と文化を育むまちづくり」に関する施策について、でございます。
生涯学べる環境づくりに向けては、より多くの市民の皆様に、手軽で身近に図書館の図書に触れていただけるよう、旧イオン金剛店跡地における新たな商業施設で、予約図書の受け取りや返却ができる仕組みを構築し、公民連携による市民サービスの充実に取り組んでまいります。
本市出身で特命大使でもある半井重幸さんが、2024年パリオリンピックの新競技となった「ブレイキン」への出場権を獲得されたことを受け、出場に向けた機運をより一層高めるとともに、大会当日は皆さんと一緒に応援ができるよう、総合体育館にパブリックビューイング会場を設け、スポーツのさらなる普及・振興を図ります。
今般、史跡の追加指定を受けました「池守田中家旧宅」につきましては、本市の歴史文化の振興に資する保存と活用を図るため、まずは、その公有化に向けた用地測量等の調査を進めてまいります。
市立郷土資料館におきましても、史跡の追加指定を記念し、「池守田中家」をテーマとした特別展を予定しています。市民の皆様には、身近に歴史文化に触れ、理解を深める機会にしていただくとともに、今後の「池守田中家旧宅」の保存と活用に向けては、地域の皆様とともに取組みを進めてまいります。
次に、「安全で安心できるまちづくり」に関する施策について、でございます。
防災対策の強化に向けては、自主防災組織に対し、資機材の貸与や訓練活動への支援をはじめ、一時避難所開設時における備品購入補助や、組織におけるリーダーの育成支援などに取り組むとともに、消防団へは、活動の安全性や機動性を確保するための装備品等を拡充するなど、引き続き、地域の防災力を一層高める取組みを推進してまいります。
市役所における災害対応能力をさらに高める取組みとして、災害発生時に職員がとるべき行動を所属ごとにまとめたカードサイズのマニュアルを、職員一人ひとりが常に携行し、平時からその内容を確認しておくことで、有事における職員の迅速かつ的確な対応につなげてまいります。
さらに、災害発生時に市が設置する災害対策本部においても、十分な機能が発揮されるよう、より実践に近い内容の訓練を取り入れ、有事への備えに万全を期してまいります。
また、浸水対策では、老朽化した水路の改築や改修など、雨水整備を計画的に進めるとともに、浸水想定区域の見直しにも着手し、「内水ハザードマップ」の更新に取り組んでまいります。
また、本市に点在する「ため池」による災害の被害軽減に向けた取組みとして、平時からの避難経路の確認や、防災を意識した地域づくり等のツールともなる「ため池ハザードマップ」を作成するなど、近年多発している集中豪雨による浸水被害の軽減に努めてまいります。
防犯対策の強化に向けては、引き続き、市内への街頭防犯カメラの設置を進めるほか、自治会等が地区内に設置するカメラに対しても、設置費等の一部を補助するなど、街頭犯罪の抑止や発生事案の早期解決につながる取組みを進めてまいります。
さらに、依然として、高齢者等に対する還付金詐欺や振り込め詐欺といった特殊詐欺の被害が後を絶たないことから、被害を未然に防止するため、引き続き、自動通話録音装置の貸与を進めてまいります。
最後に、「施策の推進に向けて」、でございます。
市民参画・協働の推進では、各中学校区におけるまちづくり円卓会議の主体的な取組みや、自治会等が実施する地域活動への支援をはじめ、コロナ後のまちの活力やにぎわいづくりに向けた市民・文化活動においても、市民の皆様としっかり連携し、支援に取り組んでまいります。
また、地域とともに協働してまちづくりを推進していくため、地域の活動がわかる職員づくりを目的に、地域における課題や取組内容、その意義などについて十分に理解するための研修を、令和5年度に引き続き実施いたします。
狭山ニュータウン地区の活性化に向けては、住民や地域活動団体の皆さんがより連携し、主体的で自律的なにぎわいの形成に引き続き取り組んでいただけるよう、「狭山ニュータウンの未来を育むプロジェクト」への支援を行ってまいります。
情報化の推進では、令和7年度末までの自治体情報システムの標準化に向けた準備を進めるほか、庁内情報システムの更新や、生成AI、RPAといった先進技術を業務に積極的に取り入れることで、事務の効率化を図ってまいります。
議会におかれましても、今日の社会情勢の変化等を踏まえ、議会のICT化に取り組まれようとしております。議会審議においては、紙資源の使用削減や業務の効率化を図るため、タブレット端末を活用されるとのことでありますので、議員1人1台の端末を整備するとともに、行政側におきましても、これらに対応したペーパレス化の推進にしっかりと取り組んでまいります。
今後とも、行政と議会がそれぞれの役割を踏まえ、デジタル化の推進などの共通課題に、ともに取り組んでまいりたいと考えております。
公共施設マネジメントの推進では、老朽化が進む公共施設の長寿命化、統廃合、複合化など総合的な視点から再配置の方向性を示す「大阪狭山市公共施設再配置計画(短期計画)」を策定いたします。
公共下水道事業では、将来にわたり持続可能な経営が図れるよう、「大阪狭山市下水道事業経営審議会」において議論を深めていただいておりますが、一定、令和6年度内に答申をいただく予定となっておりますことから、その答申内容も踏まえ、事業経営のさらなる健全化に向けた検討を進めてまいります。
人材育成の分野では、冒頭にも触れましたが、組織パフォーマンスを高めていくためには、職員一人ひとりが高い意欲とやりがいをもって活躍し、仕事を通じて成長していくことが何より重要であるとの観点から、まずは、職員のエンゲージメント調査を実施することで、組織状態を定量的かつ客観的に可視化し、その結果を踏まえたうえで、職員の持てる力を最大限に発揮できる組織づくりに取り組んでまいります。
本市のまちづくりの指針となる「第五次大阪狭山市総合計画」につきましては、10年の計画期間の中間年度が近づいておりますことから、内容の見直しに向け、検討を進めてまいります。
また、総合計画のうちから、特に、地方創生を成し遂げるために重点的に取り組む施策をとりまとめた「第2期大阪狭山市総合戦略」につきましても、令和7年度末をもって、5年の計画期間が満了を迎えますことから、総合計画の中間見直しと併せ、一体的に検討を進めてまいります。
以上、令和6年度に取り組みます、主な施策の概要につきまして、ご説明申し上げました。
本年は、大地震や航空機の大規模な火災事故が発生し、大変厳しく、辛い年明けとなりました。
殊に、自然災害は、普段そこにある暮らしを突如として一変させてしまいます。繰り返しになりますが、平時から有事の備えを万全にしていただきたいと思います。
今回の震災を受け、今、私たちがなすべきことは、塞ぎ込むことではありません。
今なお厳しい状況に置かれている被災地の皆さんに心を寄せ、国全体で総力をあげ、復興に取り組んでいかなければなりません。本市といたしましても、引き続き府内自治体等とも連携し、支援に取り組んでまいります。
そのうえで、私たちもしっかりと前を向き、まちづくりに取り組む決意であります。
さて、本年、そして来年へと、本市にとっても関わりが深い国際的イベントが開催されます。
まず、今夏には、パリにて、オリンピック・パラリンピックが開催されます。先に申し上げましたとおり、半井重幸さんが、「ブレイキン」で出場権を獲得されております。世界ランキングでも上位におられる半井さんの活躍が大いに期待されるところであり、市といたしましても、大会に向けた機運を一層盛り上げ、市民の皆様とともに応援したいと思います。
来年春には、大阪・関西万博が開幕を迎えます。地元大阪で開催される大阪・関西万博は、本市の魅力発信やにぎわいづくりのみならず、市民の皆様にとりましても、万博が描く「未来図」に直に触れ、将来への夢や希望を実感いただける、またとない機会となります。本市といたしましても、引き続き、万博開催の機運醸成に取り組むとともに、開催期間中は、府内自治体とも連携し「オール大阪」で万博を盛り上げていけるよう、催事参加に向けた検討や準備を進めてまいります。
最後になりますが、本市まちづくりの道のりは決して平坦ではありません。今申し上げたような、希望ある話題も追い風にしながら、大阪狭山市の輝かしい未来を切り拓く着実な歩みを、今こそ力強い一歩を、しっかりと前へと進めてまいりますので、市民の皆様並びに市議会議員の皆様の、なお一層のご支援とご協力を賜りますようお願いを申し上げ、令和6年度の施政運営方針とさせていただきます。
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更新日:2024年02月29日