令和5年6月所信表明

更新日:2023年10月31日

 

 令和5年6月1日に再開した大阪狭山市議会定例会6月定例月議会初日で述べた所信表明の全文です。

 

所信表明の全文

 

去る4月23日に執行されました大阪狭山市長選挙におきまして、3期目の当選の栄に浴し、引き続き、大阪狭山市政の舵取りを担わせていただくこととなりました。
選挙期間中におきましては、多くの方々と対話を重ねるなかで、今後のまちづくりに向けたご意見やご要望はもとより、温かいお言葉や応援のメッセージ、期待の声を多数お寄せいただき、このまちに対する市民の熱い思いや期待をひしひしと感じるとともに、私自身にとっても大変大きな励みとなり、勇気をいただきました。
こうして市民の皆様から信任を賜り、今この場に立たせていただいておりますことは、私にとりまして、まさに至上の喜びであり、多大なるご支援・ご支持を賜りましたことに、改めて感謝を申し上げます。
一方では、この間の市政に対し、叱咤激励も含め厳しいご意見も頂戴いたしました。こうしたお声にも真摯に向き合い、皆様方のさまざまな思いを一つひとつカタチにしていけるよう、しっかりと市政の舵を取っていくことが、まさに、私に課せられた使命であり、その重責に改めて身の引き締まる思いであります。
今後4年間、私の3期目のまちづくりでは、この2期8年の実績や成果を土台としつつも、これにあぐらをかくことなく、初志貫徹の精神で、市民の負託にしっかりと応えられるよう、市政の運営に全力で邁進してまいりますので、引き続き、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。 

 


「生涯 住み続けたいまち 大阪狭山市」。これは、私がめざすまちの姿であります。

人や地域が輝き、未来につながるまちづくりの先には、あらゆる世代が住んでみたい、ずっと住み続けたいと思ってもらえるまちの姿があると固く信じ、この間、信念をもって市政の舵を取ってまいりました。
2期目の4年間は、コロナ禍という大変苦しく厳しい状況ではありましたが、何より、市民の皆様の命と健康を守り、安全で安心な市民生活の確保を最優先に、行財政改革の推進による健全な財政運営を基本におきながら、コロナ後の新しい社会の到来も見据え、子育て施策や教育環境の充実、まちの魅力やにぎわいづくりなど、いわば「未来への投資」にもしっかりと取り組んでまいりました。
特に、若い世代にも選ばれ、安心して子育てができるまちの実現に注力し、妊娠期から就学前にかけての子どもや家族を支援する体制の強化をはじめ、保育の受入体制の充実、子ども医療費助成の対象年齢の拡充などとともに、ICT教育の推進や放課後児童会の受入体制の強化、総合体育館への空調機設置、学校給食費無償化の段階的な実施など、「子育て」や「教育」の分野を中心に取組みの充実・強化を図ってまいりました。
ありがたいことに、民間による調査でも、子育ての視点でみた住みやすさが大阪府内でトップという高い評価を得るに至っており、直近の国勢調査に基づく人口が、全国的な減少トレンドとは同調することなく増加へと転じ、人口水準を維持できていることも、まさに、こうした「子育て先進都市」をめざす取組みを含め、誰もが住み続けたいと思えるまちの実現に全力で取り組んできた成果の一端であると認識しています。

その一方で、本市を取り巻く環境は、今後一層、厳しさを増してくるものと認識しており、先送りの許されない課題は多岐にわたっています。
まず、大局的に捉えなければならないのは、かつて経験したことのない少子高齢化・人口減少時代をどう乗り切っていくかという課題であります。国立社会保障・人口問題研究所が本年4月に公表した「日本の将来推計人口」によれば、出生率は前回調査からさらに低下しており、これまでの想定を上回るスピードで少子化が進むとともに、高齢化率は今後も上昇を続け、50年後の総人口は現在の7割に減少する見込みとしています。
本市においても、中長期的に見込まざるを得ない人口構造の変化や人口減少局面の到来を念頭に、将来をしっかりと見据えながら、子育て支援策のさらなる充実をはじめ、医療・福祉・介護の支援体制の一層の強化など、子どもを含め、若い世代から高齢世代に至るまで、誰もが安心して暮らせる環境づくりをより一層進めていかなければなりません。
加えて、住居や公共インフラを含む都市機能を誘導し、各機能を公共交通でつなぐことで、生活利便性の向上とともに、行政サービスの効率化やコスト抑制をめざすなど、人口減少社会を前提とした持続可能なまちとして、コンパクトさを活かし、ネットワークを高めていく都市づくりが必要であると考えています。

今般の新型コロナウイルス感染症がもたらした影響も大きな課題の一つであります。感染拡大を契機に、社会変容は大きく進みました。多様な働き方や非接触型サービスの広がり、加速する社会のデジタル化など、人の意識や社会構造が急速に変化しています。
特に、3年を超えるコロナ禍の影響を大きく受けた地域コミュニティや地域経済の活性化は急務であります。また、これに追い打ちをかけるように、ウクライナ危機に端を発した現下の長引く物価高騰は、今なお、市民や事業者の皆様の暮らしや活動に影響を及ぼしています。
コロナ後の社会を見据えた取組みを進めつつ、今後とも、安全で安心な市民生活の確保と、事業活動の継続のための支援をしっかりと講じていく必要があります。

今、我々は、まちの将来を左右する、いわば、まちづくりの大きな転換期を迎えています。本市の最重要課題の一つである近畿大学病院等の移転は、その期日を令和7年11月に控え、まさに目前に迫ろうとしています。
移転後の跡地における医療機能の確保はもとより、跡地を含む狭山ニュータウン地区全体の再生や活性化、ひいては、市全体のまちの発展にもつなげていけるよう、移転前後の時間軸を捉えた着実な取組みを進めていく必要があります。

さらには、狭山池を核としたにぎわいづくりのさらなる推進や、老朽化が進む公共施設の再編に向けた検討を加速させていかなければなりません。
取り巻く環境の変化を的確に捉え、従来の枠に捉われない柔軟な発想をもって、自治体自らも変化を遂げていくことが必要です。
この間進めてきたまちの魅力づくりや行財政運営の基盤強化、組織力のさらなる向上など、行財政改革は、なお道半ばにあり、その歩みを止める訳にはまいりません。

取り組む課題は山積しておりますが、これからの4年間、私自身が先頭に立ち、強いリーダーシップのもと不退転の覚悟をもって、これら課題に真正面から向き合い、一つひとつを着実に課題解決に導いていけるよう、全力で取り組んでまいる所存であります。

そこで、私の3期目市政の運営にあたりまして、まちづくりの視点などとともに、重点的に取り組んでまいりたい施策について、ご説明を申し上げたいと存じます。
 

まず、今後のまちづくりにおきましては、住みやすさや暮らしやすさといった、狭山町時代から受け継がれてきたまちの魅力を「継承していく視点」はもとより、本市を取り巻く環境の変化に応じて、柔軟に「変えていく視点」が大変重要になってくるものと認識しています。
継承すべきものはさらに磨きをかけ、変えなければならないものは、臆せず変えていく。こうした姿勢を貫いてまいります。

そのうえで、まちの資源を最大限活用しながら、“大阪狭山”のまちを作り変え、いわば「リメイク」することで、新たな価値を創出する戦略的なまちづくりを進めてまいります。

ご承知のように、私たちのまちには、たくさんの地域資源があります。とりわけ、まちづくりで大切なのは、「人」であります。本市は、参画と協働のまちづくりのなかで育まれてきた多くの人材に恵まれており、すでに多方面でご活躍されている方々が多数おられます。さらには、これからまちづくりに参画してみようと意欲をお持ちの方や、まちづくりへの関心を持ちつつも、その第一歩を模索している方もおられると思います。こうした潜在する人材を含めた、市民の皆様お一人おひとりの力が、今後のまちづくりにおいては欠かせません。
また、本市には、水とみどりに恵まれた豊かな自然、ゆとりある閑静な住環境、コンパクトで利便性の高い公共交通環境など、魅力ある都市機能につながる高いポテンシャルを数多く有しています。
加えて、国史跡「狭山池」に代表される歴史文化遺産の数々、古来より先人たちが積み重ねてこられたまちづくりの軌跡。悠久の歴史に宿る、これら価値や魅力も、本市にとって大切な資源であります。

こうしたさまざまな資源を存分に活かしながら、必要に応じて新しい機能を付与しつつ、時代に適したあり方に変えていく。時には、古き良きものを残しながらも、現代的なスタイルに合ったまちに変えていく。
この2つの視点から、まち全体の「リメイク」をめざしてまいります。

そのための戦略的なまちづくりとして、「都市リメイクによるまちの魅力アップ」、そして、「ライフリメイクによる住みやすさアップ」をめざして、まちの魅力や住みやすさを一層高める取組みを進めてまいります。
「都市リメイクによるまちの魅力アップ」に向けては、まち全体の都市構造や各地域のポテンシャル、課題等を踏まえたうえで、老朽化した施設や道路などの公共インフラの整備を基本としながら、公民連携や広域連携による手法を含めた、都市機能の誘導によるまちづくりに取り組み、まちの魅力を一層高めてまいります。
「ライフリメイクによる住みやすさアップ」に向けては、引き続き、「生活安心」「住みやすさ」「将来への責任」の3つの政策課題を柱に据え、時の流れとともに変わりゆくライフスタイルに応じて、誰もが健康で安心していきいきと暮らせるまちづくりを進めてまいります。

 

このように、まちづくりを戦略的に進めていくこととしておりますが、その前提として、まず申し上げたいのは、その推進力の根幹は、何より、リーダーシップと改革マインドであります。
まずは、私が先頭に立ち、改革に向けた自らの強い意志と覚悟を示すため、自身の「身を切る改革」として、市長退職手当については100%カット、市長給与は30%カットを実行いたします。
副市長、教育長については、引き続き、退職手当は30%カット、給与は15%カットを行うことといたします。
そのうえで、行財政改革を推し進め、改革により生み出した財源も活用しながら、まちの発展へとつながる取組みにも果敢に挑戦していくことをまちづくりの基本姿勢といたします。

これを念頭に、選挙期間中に皆様にお約束した、今後4年間で取り組む重点施策を、3つの政策課題に沿ってご説明申し上げます。

まず、政策課題の第一点目、「生活安心」であります。

「子育て」の分野においては、引き続き「子育て先進都市」をめざし、妊娠、出産、子育てに至るまで、妊婦や子育て家庭に寄り添った支援を行うため、伴走型による切れ目のない支援をはじめ、妊産婦や子ども・保護者を総合的に支える「こども家庭センター」を新たな機能として設置してまいります。
皆様にご利用いただいている「子育てアプリ」においては、利便性をより高めるため、電子母子健康手帳等の機能を備えたアプリに一新いたします。
また、不妊に悩む方々に対しては、不妊治療費用の市独自助成制度を新たに創設することで、子どもを生み育てたいという希望を叶えるための支援に取り組んでまいります。
さらに、子育て家庭の負担軽減の取組みの一つとして、保育所等での使用済み紙おむつの持ち帰りの解消に向けた支援制度を創設するとともに、病児保育など受入体制の強化や保育環境の整備、児童虐待防止策の強化など、「次代を担う子どもたちが心豊かに成長できる安心なまちづくり」を推進してまいります。

次に、「医療介護」の分野においては、近畿大学病院等の移転後においても跡地に医療機能を確保できるよう、引き続き、近畿大学並びに大阪府との協議を進めてまいります。
また、健康長寿社会の実現に向けては、誰もが住み慣れた地域で安心して健康に過ごすことができるよう、健幸(健康で幸せ)づくりの推進や、がんの早期発見・早期治療に向けた取組みの強化を図ってまいります。
さらに、誰一人取り残さないための地域共生社会の実現をはじめ、高齢者フレイル(加齢とともに心身の活力が低下する状態)の予防と社会参加の促進、対象者の属性を問わず、多種多様な市民ニーズに対応するための重層的な支援体制の充実など、「高齢者や障がい者がいきいきと暮らせる優しさのあるまちづくり」を推進してまいります。

次に、「防災防犯」の分野では、災害に強いまちづくり・ひとづくりに引き続き取り組むとともに、本年3月に策定いたしました「大阪狭山市水循環計画」に基づく雨水・治水対策等の推進をはじめ、大規模災害時における応援受入体制の充実を図ってまいります。
また、街頭防犯カメラの増設や安心できる消費生活の推進、さらには、犯罪被害者やその家族等への支援の強化など、「市民生活の安全・安心を確保するまちづくり」を推進してまいります。

次に、政策課題の第二点目、「住みやすさ」であります。

「教育文化」の分野においては、子育て世帯の経済的負担の軽減を図ることを目的に、小中学校の給食費の段階的な無償化を進めながら、令和7年度を目途に、完全無償化に向け取り組んでまいります。あわせて、内容の充実を含め、食材の地産地消などとともに食育を推進してまいります。
また、小中一貫教育の導入をめざすほか、プログラミング教育や英語教育のさらなる充実、学校園の子どもを見守るサービスや、学習状況、生活状況をより的確に把握するためのAIシステムの導入、障がいの有無に関係なく共に学ぶインクルーシブ教育の充実や特別支援教育体制の強化に取り組んでまいります。
さらには、地域ぐるみで子どもを育てるコミュニティ・スクール導入校の拡充をはじめ、適正規模・適正配置に基づいた学校施設や公民館・図書館等の公共施設の再整備に向けた検討、小中学校の体育館への空調機の設置や、生涯学習、生涯スポーツの推進体制の整備など、「子どもの健やかな学びと育ちを地域と一体となって応援するまちづくり」を推進してまいります。

「都市整備(環境)」の分野では、持続可能な都市構造へ再構築を図るため、立地適正化計画を新たに策定し、都市機能の誘導による魅力あるまちづくりを進めてまいります。
近畿大学病院等移転後を見据えた取組みでは、跡地におけるまちづくりの推進をはじめ、地域の交通利便性を確保するため、市循環バスルートの見直しを検討してまいります。
また、空き家・空き店舗対策を推進するとともに、道路や橋りょう・公園の長寿命化やバリアフリー化とあわせ、近年特に顕著となっている樹木の根上がりの解消をはじめ、グリーンインフラを活かした空間整備を進めてまいります。
脱炭素社会の実現に向けては、市民参加型の取組みを推進するとともに、資源ごみの分別細分化や収集回数の見直しを図るなど、「生活者の目線で快適に暮らすことのできる安らぎのあるまちづくり」を推進してまいります。

「にぎわい」づくりの分野では、市内の登録店舗で使える地域ポイント「さやりんポイント」を活用し、市民によるまちづくり参画の促進と地域経済の活性化をめざす取組みを進めるとともに、特産品の創出や起業支援など、農商工業の振興を図ってまいります。
また、狭山ニュータウン地区の再生・活性化に向けた着実な取組みをはじめ、駅前周辺のにぎわいの創出や活性化を推進してまいります。
さらには、狭山池や池守田中家など歴史文化遺産の新たな保存活用、公園や水辺を利用した水とみどりのネットワークづくりの推進など、「産業振興や地域資源活用によるまちの活力やにぎわいのあるまちづくり」を推進してまいります。

最後に、政策課題の第三点目、「将来への責任」では、財政健全化や行財政改革などに継続して取り組み、持続可能な行財政基盤をより強固なものとするための経営改革を断行してまいります。
先に触れましたとおり、まずは、市長退職手当100%並びに市長給与30%のカットを実行いたします。そのうえで、職員につきましても、地域手当を含め、給与制度の総合的な見直しを検討してまいります。
さらに、自律性を備えた職員が意欲と誇りをもって、市民のために尽くす市役所組織をめざすとともに、市長や教育委員会が連携し、次代を担う子どもの教育をまちぐるみで推進していく姿勢や決意をより明確に示すため、本市職員と本市教育行政に関し、それぞれ基本となる事項を定める条例の制定を検討してまいります。
加えて、職員の人材育成に引き続き取り組むとともに、外部人材の登用についても検討を進めるなど、組織力のより一層の強化を図ってまいります。
協働によるまちづくりの推進では、これからの地域コミュニティのあり方の検討とともに、市民活動の担い手の育成と支援体制の強化に取り組んでまいります。
また、広域連携など基礎自治体としての将来のあり方や指定管理者制度の見直しの検討、シティーセールスや情報発信の強化充実、デジタル技術による市民生活やサービスの向上を図るためのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進計画の策定とその推進に取り組むなど、「将来への責任として、次世代に負担を先送りにしない行財政運営」を推進してまいります。

以上、今後4年間におきましては、「継承していく視点」と「変えていく視点」の双方の視点に立ち、まちの資源を活かした戦略的なまちづくりを進めることで、「生涯 住み続けたいまち 大阪狭山市」の実現に一意専心で取り組んでまいりますので、市民の皆様並びに市議会議員の皆様のより一層のご理解とご支援をお願い申し上げ、3期目の所信表明とさせていただきます。

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