令和3年度施政運営方針
令和3年3月1日に再開した大阪狭山市議会定例会3月定例月議会初日で発表した施政運営方針の要旨です。
施政運営の基本方針
令和3年度の施政運営に関する基本的な考え方と予算に盛り込みました主な施策の概要につきまして、ご説明を申し上げます。
我が国においては、これまで2度の緊急事態宣言の発出により、不要不急の外出や移動の自粛、事業者等には休業要請や営業時間短縮の要請、イベントの自粛や規模の制限などにより、市民生活や事業活動は停滞や縮小を余儀なくされ、社会経済にも深刻な影響を与えることとなりました。
これまでの間、本市では、何より、市民の皆様の安全安心の確保に向けた取組みを最優先に、市民生活の安定、ならびに市内事業者の事業継続を支援するため、昨年は、追加分を含め3弾にわたり、50事業からなる緊急応援策をパッケージとして取りまとめてまいりました。
特に、「市民生活への支援」として、生活応援買い物クーポン券の配布や上下水道料金の減額など、「事業者支援」として、休業要請支援金の支給や「新しい生活様式」への対応の支援など、「子育て支援」として、令和2年4月28日以降に生まれた子どもを対象とした新生児子育て応援給付金の支給をはじめ、赤ちゃんと安心してお出かけできるよう、感染防止に役立つグッズを集めた「育児パッケージPlus(プラス)」の配布や、コロナ禍においても、子どもの学びが継続できる環境を整備するなど、「コロナに負けない」強い決意と覚悟を持って、「市民に寄り添った」施策に取り組んでまいりました。
また、先の2月緊急議会では、新型コロナウイルスワクチンの医療従事者への接種に係る経費をはじめ、介護を必要とされる方が感染者との濃厚接触者等になった場合であっても、引き続き介護サービスを受けられるよう、介護事業者に対して協力金を支給する制度の創設や、各小・中学校での継続した学びを保障する環境の充実といった、新たな応援策を盛り込んだ補正予算をご提案申し上げ、ご承認いただいたところです。
さらに、緊急事態宣言によって、深刻な影響を受けておられる事業者の皆様への支援をはじめ、保健センター、幼稚園、保育園等における感染防止対策の徹底や、コロナ禍で特にDV被害や心に関する悩みといった相談が増えている状況を踏まえた、女性のための相談体制の充実・強化、聴覚障がいのある方や外国人居住者等への支援として、医療機関受診時に活用いただく、手話や通訳システムを搭載した端末の貸し出し、さらには、緊急事態宣言解除後の、市民、事業者の皆様の生活や事業活動の再開を後押しできるよう、キャッシュレス決済によるポイント還元事業などの諸経費を盛り込んだ、令和3年度補正予算案を直ちに編成し、当初予算案とあわせてご提案申し上げております。
今なお、感染拡大の終息の目途は立たない状況ではありますが、引き続き、感染拡大の状況や、国ならびに大阪府の動向等も踏まえながら、臨機に、時機を逸することなく、コロナ対策を適宜講じてまいります。
さて、今般の新型コロナウイルスの感染拡大は、我々に数多くの試練を与えることとなり、これまでの暮らしぶりや働き方など、そのありようを大きく見直すきっかけともなりました。
今日のグローバル化の進展は、国や地域の垣根を越えたさまざまな活動を活発にし、これまでのインバウンド需要の高まりによる経済効果一つをとっても、我が国の経済成長に大きく寄与するものとなりました。他方、今日のグローバル化が、新型コロナウイルス感染を瞬く間に全世界へと拡大させた要因の一つとの見方もあり、コロナ禍により、一気に人やモノの流れは止まることとなりました。国内では、感染拡大以降、東京からの人口流出が顕著となっており、こうした状況を見ますと、東京一極集中の是正や、従来の「都市集中型」の社会から「地方分散型」社会への転換が加速する契機となる可能性もございます。
また、コロナ禍を機に、テレワークや時差出勤、ローテーション勤務などといった多様な働き方が広がりを見せることになりました。特に、テレワークは、「働く場所」を改めて問い直すきっかけとなり、「自宅」や、「サテライトオフィス」など、場所に捉われない働き方や、「地方への移住」という選択も可能となるなど、ローカルへの志向も高まりつつあります。
「新しい生活様式」の実践とともに、これまでの社会のありようが大きな変容を遂げようとしています。
国政に目を向けましても、昨年には、実に7年8か月ぶりに首相が交代し、新たな政権が誕生いたしました。新政権においても、コロナ禍における感染拡大防止や、事業継続、雇用を守る対策に重点的に取り組んでおられますが、その一方で、さまざまな課題にも直面いたしました。
なかでも、一人につき10万円の特別定額給付金の支給においては、マイナンバーカードによるオンライン申請が全国的に混乱を招くなど、改めて行政のデジタル化の遅れが浮き彫りとなりました。これを機に、行政のデジタル化をはじめとする大胆な規制改革が実行されようとしています。
まさに、社会のありようとともに、行政のありようも問われる、変革の時代を迎えようとしています。
本市においても、こうした時代の趨勢を見極め、アフターコロナといわれる新たな社会の到来を見据えながら、将来のあるべきまちの姿をしっかりと展望し、まちづくりを進めていかなければなりません。
折しも令和3年度は、「第五次大阪狭山市総合計画」がスタートする年であります。
思い返せば、私が平成27年に、初めて市政の舵取りを担わせていただく際、当時は、人口減少問題が全国的にも大きくクローズアップされた時期でありました。「いかにして本市のまちの魅力を高め、人を呼び込んでいくか」が、これからのまちづくりの大きな鍵になるとの思いから、まずは、「第四次総合計画」の基本計画の見直しと、「大阪狭山市総合戦略」の策定に着手いたしました。
この間、子育て支援・世代間交流センター「UPっぷ」の開設や、市内すべての小学校の普通教室及び特別教室へのエアコン設置、保育や放課後児童の受入体制の充実、子ども医療費助成の対象年齢を18歳までに拡充するなど、特に、若い世代の定住を促す取組みに全力を注いでまいりました。
現行の総合計画では、子育てにやさしいまちづくりなどの施策を展開することで、目標年次であります、令和2年度の人口規模を5万8千人と想定しておりますが、住民基本台帳に基づく令和元年8月末現在の人口が、過去最高の58,769人を記録し、直近の令和3年1月末現在の人口におきましても、58,622人を記録していることから、これまでの取組みの成果が得られたものと認識しております。
しかしながら、国全体では、国内出生数は減少の一途を辿り、人口減少に歯止めが掛からないなか、中長期的に見ますと、本市においても、人口減少に転じていく厳しい予測をいたしております。
今後、人口減少問題を含め、本市を取り巻く社会経済情勢はより一層厳しさを増すものと認識しており、老朽化した公共施設の更新や社会保障関係経費など義務的経費の増大に加え、ライフスタイルや価値観の多様化などによる地域コミュニティ活動の希薄化、より安全で安心な社会の実現、ICT(情報通信技術)の活用など、さまざまな課題やニーズへの対応も求められています。
そうしたなか、令和3年度からの10年のまちづくりの基本方向を示す「第五次大阪狭山市総合計画」を策定いたします。
策定にあたりましては、平成30年度の「まちづくり市民会議」での議論を起点に、令和元年度には、学識者懇談会や各種アンケート調査の実施に加え、市民の皆様による意見交換会を開催するとともに、令和2年度には、附属機関である「総合計画審議会」での議論を中心に、パブリックコメントの実施を経て、最終案へと取りまとめてまいりました。
その新たな総合計画(案)に掲げる本市の将来像は「水・ひと・まちが輝き みんなの笑顔を未来へつなぐまち ~みんなでつくる おおさかさやま~」であります。
この将来像を実現するため、先ほど申し上げた、本市を取り巻くさまざまな行政課題を念頭に、これまでの総合計画の施策体系を大きく見直しております。まず、第1章として「子どもや若者の未来が輝くまちづくり」、第2章として「健康でいきいきと暮らせるまちづくり」、第3章として「自然と調和した活力のある快適なまちづくり」、第4章として「豊かな心と文化を育むまちづくり」、第5章として「安全で安心できるまちづくり」、そして、これら5つのまちづくりの目標と、その目標を実現するための施策を下支えする、第6章「施策の推進に向けて」をあわせ、6つの施策の大綱を定めるものであります。
また、新たに「SDGs」の視点を計画に盛り込み、行政のみならず、市民や事業者の皆様とともに、「誰一人取り残さない」社会の実現に向けた取組みへの機運を高めてまいります。
さらに、総合計画の策定とあわせ、より地域の実情に沿ったまちづくりを進めるため、新たに「各中学校区のまちづくりの方向性」をお示しすることといたしました。各中学校区のまちづくりを推進する「まちづくり円卓会議制度」がスタートして10年以上が経過した今、改めて、市職員はもちろんのこと、市民の皆様も原点に立ち返り、これまでの活動をそれぞれに振り返る時期に来ているのではないかと考えております。これまでの成果や課題を踏まえたうえで、今回お示しする「各中学校区のまちづくりの方向性」を参考にしていただきながら、地域の皆様とともに、まちづくり円卓会議条例第8条に規定する、中学校区の将来像と、それを達成するための事業計画である「地域ビジョン」の策定をめざすこととしております。
また、第五次総合計画に掲げる施策のうちから、地方創生を成し遂げていくために重点的に取り組む施策を取りまとめた「第2期大阪狭山市総合戦略」を策定し、地方創生の実現に向け、まちの魅力を一層高め、将来の人口減少を最小限とするべく、さまざまな行政課題に引き続き取り組んでまいります。
令和3年度から、新たな総合計画を効果的かつ機動的に推進していけるよう、平成29年4月以来の大規模な組織機構の再編を行うことといたしました。
目前の新型コロナウイルス感染拡大の脅威をはじめ、地震や近年激甚化する台風、集中豪雨などの自然災害に加え、コロナ禍に乗じた特殊詐欺による被害などにより、「安全安心なまち」への関心が一層高まりを見せております。
引き続き、コロナ禍への対応に万全を期すとともに、令和3年度からの堺市への消防事務の委託による消防力の強化をはじめ、自然災害のなかでも特に顕著に見られる浸水被害の防止に向けた取組みなどを効果的に推進していけるよう、市民生活を脅かすさまざまな危機事象への組織対応力の強化を図ってまいります。
新型コロナウイルスの感染拡大の終息は今なお見通せない状況でありますが、コロナ後の反転攻勢に向けた準備を今から進めていく必要があります。
特に、地域経済のさらなる活性化に向け、今後の本市産業の振興方策について検討を進めるとともに、コロナ禍を乗り越えた先のまちのにぎわいを見据え、市の魅力の掘り起こしや新たな魅力の創出にも注力してまいります。さらに、そうした魅力を戦略的かつ機動的に発信していく体制整備を図ります。
先にご紹介しましたとおり、新たな総合計画(案)で掲げる将来像には、「みんなでつくる おおさかさやま」という合言葉が新たに添えられています。この合言葉にふさわしく、市民と行政との協働によるまちづくりに加え、民間企業や大学等と手をつなぎ、さまざまな課題に取り組む「公民連携」を進め、多様な主体が持つそれぞれの役割や特性を活かしながら、まちづくりを進めてまいります。
また、行政のデジタル化に向けては、政府の方針として、令和7年度末までに地方自治体の行政システムを統一、標準化し、クラウド化を進めることとしております。
大阪府では、昨年8月に、企業や府内の自治体などで構成する「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」を立ち上げ、社会課題の見える化と、先端技術による課題解決の方策を構築する取組みを進めております。
本市も同フォーラムを通じて、最新技術に関する情報の収集や会員間の連携を深めるとともに、行政手続きのオンライン化や公金収納のキャッシュレス化など、ICTを積極的に活用した市民サービスのさらなる向上はもとより、事務の効率化にも一層取り組む体制を整えることで、コロナ後の新たな時代にふさわしい市役所をめざしてまいります。
さらに、持続可能な自治体運営に向けては、行財政改革と財政運営を両輪に、資産の積極的な活用や公共施設マネジメントなどとも一体的に推進する体制を整え、効果的かつ効率的な行財政マネジメントを推進してまいります。
言うまでもなく、これら組織目標を果たすための基礎として、「組織」と一体を成すものが「人材」であります。職員一人ひとりの能力向上はもちろんのこと、高い倫理観と責任感を持ち、大阪狭山市に愛着と誇りを持って、市民のために行動できる職員の育成に全力を挙げてまいります。
さらに、人材育成とあわせ、職員がいきいきと活動し活躍できる職場づくり、風通しのよい職場環境づくりに注力してまいります。
このように、新たな組織体制のもと、人材の育成も図りながら全庁一丸となって、複雑化・多様化する諸課題に対応してまいります。
令和2年度は、まさに、コロナ対策の1年ともいえる年でありました。厳しい財政運営が求められている状況ではありますが、何より、市民の皆様の安全安心の確保に向けた取組みを最優先に、躊躇なく補正予算を編成してまいりました。
令和3年度においても、コロナとの共存の1年であることを念頭に、コロナ禍の影響による厳しい財政運営を見込んでおります。こうしたことを踏まえ、新年度予算の編成に向けては、「行財政改革推進プラン2020」の視点である「生産性の向上を図る」「中長期的な視点を持つ」「時代の変化を捉える」ことを基本姿勢に、前例に捉われず、すべての事業について再点検を行うとともに、今後の財政運営を戦略的に進めていくための基本的な方針として、「財政運営基本方針」を新たに策定いたしました。そのうえで、今申し上げた行財政改革の新たな3つの視点を持って予算要求に臨むよう、私から全職員に対してメッセージを発信いたしました。
令和2年度は、新型コロナウイルスという未知の脅威を前に、やむなく、延期または中止という苦渋の決断を余儀なくされた事業も多くございました。
感染拡大の動向が依然不透明ななかではありますが、コロナ対策はもちろんのこと、延期した事業の再開や、新たな事業展開が図れるよう、令和3年度当初予算に加え、国の第3次補正予算を踏まえた令和2年度補正予算、ならびに令和3年度補正予算を一体的に編成し、必要な事業費を計上いたしております。
とりわけ、コロナ禍における新たな社会を見据えては、市民ならびに事業者の皆様のキャッシュレス化を一層推進するため、冒頭申し上げた、ポイント還元事業を展開するとともに、GIGAスクール構想に沿った教育を効果的に推進していくための、ソフト・ハード両面での教育のデジタル化に加え、行政手続きのオンライン化や、ICTを活用した業務の効率化など、行政のデジタル化の推進に向けた諸経費を盛り込んでおります。さらに、安全で安心な社会の実現に向けては、消防の広域化や防災対策の強化に必要な予算についても、重点的に配分いたしております。
なお、繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染拡大への対応につきましては、今回ご提案申し上げる各種の取組みをはじめ、時々刻々と変化する情勢を捉え、今後も、各施策の分野目的に沿った対策に、適宜取り組んでまいります。
このように、令和3年度の施政運営にあたりましては、新たな総合計画、新たな組織体制、新たな予算のもと、新たな取組みにも果敢に挑戦し、「生涯 住み続けたいまち 大阪狭山市」の実現に向け、全力で各施策に取り組んでまいります。
それでは、第五次総合計画(案)の施策体系に沿った形で、令和3年度の主な施策の概要を申し上げます。
基本計画の「1.子どもや若者の未来が輝くまちづくり」に関する施策についてでございます。
まず、新型コロナウイルスの感染拡大への対応として、親子が集まる乳幼児健診やママパパ教室等において、人との接触を最小限に抑えるため、開催の回数を増やして実施するなど、感染防止に向けた対策を講じるとともに、赤ちゃんとその保護者が安心してお出かけできるよう、アルコールジェルやポーチなどをリュックに詰めた「育児パッケージPlus(プラス)」を、令和2年度に引き続き、配布してまいります。
民間を含む、保育所や幼稚園、認定こども園等においても、消毒液等の衛生対策物品を充実させ、引き続き、感染防止対策を講じてまいります。
子育て支援の充実では、放課後児童会に入会する必要がある児童の受け皿を拡大するとともに、保護者ニーズを捉えた柔軟なサービスの提供が可能となるよう、引き続き、民設民営の放課後児童健全育成事業を実施する事業者に対し、事業費の一部を補助いたします。
教育・保育の充実に向けては、令和3年4月から、きらり保育園が幼保連携型認定こども園へ移行いたしますので、残る旧園舎の撤去等に対し、必要な費用の一部を補助いたします。
また、子ども医療費につきましては、昨年10月から、18歳まで対象年齢の拡充を行ったところです。引き続き、子どもの健やかな成長のさらなる促進を図るため、医療費の一部助成を行ってまいります。
学ぶ力・生きる力を育む教育の推進では、国語力の基盤となる「読む力」の状況を客観的に把握し、授業改善や家庭学習習慣の改善に反映させることで、児童・生徒の国語力の向上を図るべく、まずは、モデル校3校を対象に、「リーディングスキルテスト」を試行実施いたします。
教育環境の充実に向けては、「GIGAスクール構想」に基づき整備いたしました、児童・生徒一人一台のタブレット端末を効果的に活用できるよう、学校や家庭で安全かつ適切にオンライン学習ができる環境を整えてまいります。加えて、授業での活用を支援する「GIGAスクールサポーター」を配置することで、デジタルドリルなどの教材を効果的に活用できる体制の強化を図ってまいります。
児童・生徒の一人ひとりの学習定着度に応じた、きめ細やかな学びを支援するため、退職教員や教員を志望する大学生など、多様な地域人材を活用し、「学習支援員」として各小・中学校に配置するほか、教員の業務軽減を図り、児童・生徒への指導や教材研究等に注力できるよう、教職員の補助的業務を担う「スクール・サポート・スタッフ」を、引き続き配置してまいります。
また、子どもたちが快適で安心して学校生活を送ることができるよう、南中学校の長寿命化・大規模改造工事に必要な設計業務を実施いたします。
学校給食センターにおきましては、コロナ禍の影響により、令和2年度の改修工事を延期いたしましたが、今後の感染拡大の状況や社会情勢の変化なども見極めたうえで、令和3年度の実施をめざしてまいります。
また、「第2期大阪狭山市教育振興基本計画」における重点目標の一つであります「時代の変化に対応した学習環境などの整備」に向け、「これからの学校園のあり方検討委員会」を新たに設置し、学校規模の適正化など、学校区ごとの実情を踏まえながら、より良い学校園のあり方について、検討を進めてまいります。
地域全体で子どもの成長を支える基盤づくりに向けては、 地域と学校をつなぐコーディネート役として、「地域学校協働推進員」を引き続き配置することで、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の体制強化を図り、地域学校協働活動の充実をめざしてまいります。
次に、基本計画の「2.健康でいきいきと暮らせるまちづくり」に関する施策についてでございます。
まず、新型コロナウイルスの感染拡大への対応として、市民の皆様には順次ワクチン接種を受けていただけるよう、準備を進めてまいります。
また、介護を必要とする方が感染者又は濃厚接触者となった場合であっても、引き続き介護サービスを受けていただけるよう、介護事業者に対し協力金を支給するとともに、施設内で感染者等が確認された場合などには支援金を支給し、事業運営を支援してまいります。
さらに、聴覚障がいのある方や外国人居住者等が、医療機関において、安心して診察を受けていただけるよう、映像で手話や通訳等が利用できるシステムを搭載したタブレット端末を貸し出しいたします。
地域における福祉課題が複雑化・複合化するなか、こうした課題や狭間のニーズへのきめ細やかな対応ができるよう、「介護」や「障がい」、「子ども」、「困窮」などといった対象者の属性ごとの支援にとどまらず、対象者の属性を問わず、これらの相談を包括的にお受けし、重層的に支援する体制を強化することで、課題や問題を着実に、解決へとつなげてまいります。
高齢者が安心して地域で暮らすことができるよう、総合的に支えるための相談窓口として、引き続き、庁舎南館の「地域包括支援センター」に加え、「ニュータウンサテライト」においても、介護サービスなどの情報提供や相談・支援に取り組んでまいります。
また、認知症の方やその家族が地域で生活する不安を軽減するため、認知症高齢者等を対象とする損害賠償責任保険に本市が加入する制度を継続してまいります。
障がい福祉サービスの充実に向けては、障がいのあるお子さんが地域で自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう、施設での入浴サービスを新たに提供いたします。
また、障がいへの理解を深めるため、令和2年度に実施を予定しておりました、パラスポーツ体験などのイベント開催につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、規模を縮小し、啓発展示のみの実施となりましたが、令和3年度におきましても、今後の感染の状況なども見極めながら、イベントの開催をめざしてまいります。
次に、基本計画の「3.自然と調和した活力のある快適なまちづくり」に関する施策についてでございます。
まず、安全で安定した水の供給に向けては、給水収益の減少や施設の老朽化に伴う更新費用の増加など、水道事業経営の環境が厳しくなる見込みのなか、本市水道事業を大阪広域水道企業団と4月から事業統合することで、さらなる経営基盤及び技術基盤の強化を図ってまいります。
魅力あるまちづくりの推進に向けては、令和4年度からの新たな都市計画に関する基本方針であります「都市計画マスタープラン」の改定に向けた取組みを進め、令和3年度中の策定をめざします。
人にやさしい交通環境の実現や交通安全対策の推進にあたりましては、老朽化した道路の舗装補修をはじめ、狭隘道路の拡幅や、草沢橋の拡幅及び耐震補強を図るとともに、他の橋梁につきましても安全点検を計画的に進めてまいります。
まちの魅力創出をけん引する重点プロジェクトといたしまして、水とみどりのネットワーク事業を次のステージへと進めてまいります。
昨年には、副池オアシス公園公民連携事業におけるパートナー事業者を決定いたしましたので、事業者がもつノウハウや活力を活かしながら、副池周辺エリアの魅力と価値の向上を図り、市内外の人々が集い、若い世代を含むさまざまな世代が交流・活動できる拠点づくりをめざしてまいります。
まずは、カフェや駐車場の整備をはじめ、副池オアシス公園や西新町公園の一体的なリニューアルを視野に、事業者と協議を進めながら、周辺整備を進めてまいります。
さらに、副池周辺エリアの整備と並行して、水とみどりのネットワーク上に、魅力ある遊歩道空間を整備し、ウォーカブルな都市環境を形成してまいります。
市内の各公園につきましては、地域や利用者のニーズ等を踏まえ、新たな遊具等の更新を計画的に進め、憩える公園、遊べる公園づくりを進めてまいります。
クビアカツヤカミキリによる桜への被害の拡大を最小限に抑えるため、新たに、民有地の被害木の所有者または管理者に、薬剤及び資材を無償配布いたします。
公園や街路樹の桜につきましても、引き続き、被害木の早期発見と対策を講じることで、市域全体の被害拡散防止を図ってまいります。
また、あまの街道の高木の立ち枯れにつきましても、計画的に伐採を行うことにより、樹木の適正管理と利用者の安全対策に努めてまいります。
地域から始める地球にやさしい環境づくりでは、脱炭素社会の実現に向け、市民の皆様の積極的な取組みを後押しするため、引き続き、再生可能エネルギー設備等の導入費の一部を補助いたします。
下水道事業におきましては、下水道長寿命化計画に基づき、老朽化した下水道管の改築工事や幹線管の耐震化を進めるとともに、近年多発する局地的な集中豪雨時の浸水被害対策として進めておりました、西除川第二排水区雨水調整池整備工事の令和3年度中の完成をめざします。
地域経済の活性化に向けては、新たに市内で創業する人を対象に、創業支援制度を創設するとともに、キャッシュレス決済によるポイント還元事業を展開することで、個人消費の回復と事業者への支援、ならびにキャッシュレス化の促進を図り、より一層にぎわいのあるまちづくりを進めてまいります。
緊急事態宣言により、売り上げが大きく落ち込んだ事業者の皆様に対しては、今後も事業を継続していただけるよう、市としても支援金を支給いたします。
次に、基本計画の「4.豊かな心と文化を育むまちづくり」に関する施策についてでございます。
まず、このコロナ禍において、DV被害や心に関する悩みを抱える女性が増えている状況を踏まえ、女性弁護士による女性のための無料弁護士相談を新たに実施するとともに、女性カウンセラーによる女性のための相談会の充実や、オンラインによる相談にも対応できるよう相談体制の強化を図ります。
生涯学習の推進に向けては、市民の「生涯にわたる学習」を支援する施策の方針を示し、その方針に沿った取組みを計画的に進めるための「生涯学習推進計画」を策定いたします。
市民の文化芸術活動の拠点である文化会館におきましては、より快適に利用いただけるよう、和式トイレの洋式化や、オストメイトに配慮したトイレの改修に向け、設計業務を実施いたします。
歴史文化遺産の保存・活用に向けては、平成30年度に策定いたしました「歴史文化基本構想」をもとに、「文化財保存活用地域計画」として、新たに策定いたします。
そのうえで、史跡狭山池に重要な関わりのある池守田中家につきましては、今後の具体的な保存活用について検討するため、建物・敷地等の文化財調査を実施します。
市立郷土資料館におきましては、本市の近代文化遺産をテーマにした企画展を、展示解説の動画配信など「新しい生活様式」に合わせた手法も取り入れながら、開催いたします。
人権尊重社会の確立に向けては、時代の変化に伴う新たな人権課題への対応の必要性に鑑み、これからの人権行政のあり方等の検討結果を踏まえ、「人権行政基本方針」を改定いたします。
次に、基本計画の「5.安全で安心できるまちづくり」に関する施策についてでございます。
地震や火災などの災害から、市民の生命や財産を守り、誰もが安心して暮らせるよう、消防力の強化と救急救命体制のさらなる充実をめざし、本年4月から、堺市への消防事務の委託を開始いたします。
なお、消防団や女性防火クラブに係る事務は、引き続き、本市で担ってまいりますので、消防の広域化を機に、消防団やクラブの役割を踏まえたうえで、団員の技術のさらなる向上に向けた訓練や、クラブの諸活動を支援してまいります。
防災対策の強化に向けては、近年のさまざまな災害等を教訓に、国や大阪府において、防災に関する考え方や対処方針等が見直されていることから、これまでの関係法令の改正内容等も踏まえ、「地域防災計画」を改訂いたします。
また、さまざまな災害応急対策を迅速に行えるよう、備蓄物資の充実を図るとともに、学校においては、アルファ化米などの備蓄セットを被災時において活用できるよう、児童・生徒及び教職員に配布し、賞味期限前には家庭に持ち帰ってもらうことで、非常食の備蓄の必要性を改めて考えていただく契機とするなど、家庭での防災意識の高揚を図ってまいります。
大規模地震などによる万一のため池の決壊時に備え、昨年に引き続き、ため池ハザードマップを作成いたします。令和3年度の作成をもって、対象となるため池のハザードマップの整備は完了いたしますので、今後は、これらを活用し、地域住民に周知することで、被害の軽減を図ってまいります。
自主防災組織に対しましては、防災資機材の購入や貸与のほか、防災活動に関わる訓練の実施や啓発に関する講演会の開催など、地域の防災活動に対し支援を継続してまいります。自主防災組織のリーダーの育成に向けては、引き続き、防災士の資格取得への支援を行うとともに、防災士資格を取得された方と防災士資格を持つ市職員や関係機関の方々との防災に関するミーティングや研修会などを通して、いわゆる「顔の見える関係」を構築し、地域防災力の一層の向上を図ってまいります。
さらに、災害時における情報をはじめ、市民の皆様に緊急的にお知らせすべき情報につきましては、これまでも、市内各所に設置している防災行政無線のスピーカーから一斉放送しておりますが、誰一人として情報を取り逃すことがないよう、防災行政無線での放送に加え、メールや電話、ファックスといったさまざまな媒体により、多重的に情報発信してまいります。
地域の防犯環境の充実に向けては、自治会等による街頭防犯カメラの設置ならびに維持管理に係る費用の一部補助を継続するとともに、多くの人が利用する公共的な場所への街頭防犯カメラの設置を計画的に進め、より一層の防犯対策の強化を図ってまいります。
また、コロナ禍の影響もあり、特殊詐欺の手口が多様化かつ巧妙化していることを踏まえ、特殊詐欺の被害を未然に防止する観点から、引き続き、特殊詐欺対策に有効な自動通話録音装置を高齢者等に貸与してまいります。
最後に、基本計画の「6.施策の推進に向けて」でございます。
まず、市民参画・協働の推進についてでございます。
新型コロナウイルスの感染拡大により、まちづくり円卓会議の活動にも大きな影響を及ぼしております。今後の感染拡大の状況を踏まえながらではありますが、令和3年度においても、地域課題の解決に向けた、さまざまな活動が計画されております。
南中学校区円卓会議では、高齢者の方々の健康増進に対する意識を高めるため、元気クラブ体操や元気ウォーキングに取り組まれるほか、災害時の避難所運営訓練や、ひったくり等の街頭犯罪防止の啓発、青色防犯パトロールなど、地域の安全と安心の確保に継続して取り組まれます。
第三中学校区円卓会議では、コロナ禍により中止となりました「10周年記念フェスティバル」の令和3年度での開催をめざすとともに、引き続き、ワークショップや交流会、夏まつりなどの開催を通じて、校区内で活動するさまざまな団体や個人の交流を深める取組みが行われます。さらに、地域の魅力の再発見と健康づくりを兼ねたウォーキングの開催や、菜の花いっぱい運動、フラワーガーデンの取組みが継続して行われます。
狭山中学校区円卓会議では、「さやりんピック」や「さやりんフェスティバル」の開催などを通じて、校区内の親睦や交流を図りながら、地域コミュニティへの参加意欲や環境への関心を高める取組みが行われます。また、地域課題の解決に向けた講演会の開催や、福祉・教育に関する活動などにも取り組まれます。
地域コミュニティ活動の促進に向けては、コミュニティ活動の拠点である地区集会所の整備に対しまして、引き続き、助成を行ってまいります。
狭山ニュータウン地区の活性化に向けては、「狭山ニュータウンの未来を育むプロジェクト推進会議」のもと、引き続き、市民が主体となって、活発な議論を行い、実践につなげていくためのプロジェクトを進めてまいります。
さらに、令和3年度から新たに、学識者や関係事業者、大阪府等で構成する「狭山ニュータウン地区再生連絡協議会」を設置し、市民や行政、事業者の役割や取組みを明確化したうえで、そのロードマップや戦略をパッケージとした「狭山ニュータウン地区再生推進計画」を策定いたします。
同協議会では、計画策定後も取組みの促進に向けた情報交換を行うほか、「プロジェクト推進会議」による取組みを必要に応じて、専門的な視点からバックアップするなど、市民、事業者、行政が連携を図りながら、地区の活性化に取り組んでまいります。
魅力情報の発信の取組みにつきましては、令和元年度に作成いたしました情報誌や動画コンテンツをイベント等で配布・配信するなど、本市の認知度を高める施策を展開することで、交流人口や関係人口はもとより、定住人口の増加へとつなげてまいります。
レトルト版「狭山池ダムカレー」につきましても、シティプロモーションツールの一つと捉え、成人式をはじめとする各種事業での活用に加え、特に市外の人が多く訪れるイベント等での配布など、引き続き、市の各施策の展開と連動した活用を図るとともに、市内での購入も可能となるよう検討を進めてまいります。
適切な公共施設マネジメントの推進に向けては、平成27年度に策定いたしました「公共施設等総合管理計画」を、改訂された国基準に整合させる見直しを図るほか、施設の長寿命化や複合化等の総合的な視点から、市民の皆様の利便性も考慮した公共施設全体の適正化について検討してまいります。
デジタル化の推進に向けては、令和2年度に試行導入いたしました「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を本格導入するとともに、庁内連絡調整を効率化するチャットツールを新たに導入いたします。
さらに、電子申請フォームの作成ツールを導入し、オンラインによる申請や、市民向けのアンケートなどへの活用を図ることで、市民サービスのさらなる向上と業務の効率化をめざしてまいります。
事業者等へお送りしている市からの支払通知書につきましては、ハガキでの郵送を廃止し、インターネットにより閲覧いただけるよう、システムの改修を行ってまいります。
また、本年2月1日から、コンビニエンスストア等において、住民票の写しや印鑑登録証明書を取得できるようになりましたので、より多くの皆様にご利用いただけるよう、マイナンバーカードの取得促進とあわせ、その利便性を広く周知してまいります。
以上、令和3年度に取り組みます主要な施策の概要につきまして、ご説明申し上げました。
昨年度の施政運営方針では、「たとえ、苦難や困難に直面しようとも、それらに立ち向かい、飛躍し、輝く時代へとつないでいかなければならない」と申し上げました。
当時の国内の新型コロナウイルス感染者数は、十数名程度で推移しておりましたので、今のような事態を想定することは、容易ではありませんでした。
私たちは、今まさに、コロナ禍という大きな苦難、困難に直面しております。
しかしながら、明るい兆しも見えております。
段階的ではありますが、我が国においてもワクチン接種の開始により、新型コロナウイルス克服への次の一歩を踏み出しております。
本市といたしましても、大阪狭山市医師会等と連携を密にし、ワクチン接種を円滑に進めてまいります。
コロナ克服への道のりは決して平坦ではありませんが、これまでの感染予防対策における知見や経験の蓄積を礎に、国、大阪府などとも連携しながら、一歩ずつ歩みを進め、この難局を乗り越えていく覚悟であります。
最後になりますが、本市の最重要課題の一つであります、近畿大学病院ならびに帝塚山学院大学の市外への移転に関しましても、これまでの取組みが功を奏し、その状況を前進させることができました。
近畿大学病院の移転につきましては、三者協定書において、医療需要を踏まえた「跡地での医療機能」と表現されていた部分が「後継病院については圏域内で不足する回復期機能を有する病院を中心に検討されるべきであり、現病院と新病院の病床差である119床を超えて整備する場合は、厚生労働省協議が必要となる。」との具体的な考察が、昨年11月に大阪府から本市に示されました。
また、昨年12月には、大阪府の考察に対する本市の考え方(方針)を市ホームページにより公表するとともに、公式な場である「南河内医療・病床懇話会」や「南河内保健医療協議会」において、改めて、関係者に対し周知したところであります。
今後、近畿大学には119床をスタートラインとして、確実に後継病院を確保されるよう、三者協議の枠組みを通じて、大阪府とともに求めてまいります。
さらに、先日、近畿大学の世耕理事長とオンラインにより面談する機会があり、本市と近畿大学の関係をより深化させるため、包括連携協定を締結することを大筋で確認いたしました。現在、双方の担当者間で、締結に向けた調整を進めているところです。
近畿大学とは、医学部や病院が移転した後のことも見据え、引き続き、連携を深めてまいります。
帝塚山学院大学におきましても、跡地の買受人が決まり、昨年12月には、同大学と買受人との間で売買契約が締結されたところであります。買受人によりますと、「既存の施設をできるだけ活用し、自然環境を残しつつ、医療機関、介護施設、研究所などを整備していく方針である」とのことであります。
先月には、買受人のホームページに開発予定内容が公表されましたので、本市のホームページにおいても、その旨を周知したところであります。
今後も、同大学とは、平成30年に締結した包括連携協定をもとに、連携・協力関係を維持・発展してまいりますとともに、買受人とは、本市のまちづくりに資するよう、協議を重ねてまいります。
本市が抱える課題の解決と、まちのさらなる発展に向け、市民の皆様ならびに市議会議員の皆様の、より一層のご支援とご協力を賜りますよう、切にお願い申し上げまして、令和3年度施政運営方針とさせていただきます。
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更新日:2023年10月31日