おおさかさやまで、キラキラ、ひかる。半井重幸さん ― September.2024 ―
「おおさかさやま」には、夢を描いて、夢に向かって何かに打ち込んでいる人がいます。
そこに性別や年齢は関係ありません。
おおさかさやまの、夢や目標に向かって「キラキラ」ひかる人を紹介します。

大阪狭山市特命大使
Bboy Shigekix
半井重幸さん
Back number>> おおさかさやまで、キラキラ、ひかる。 半井重幸さん ― December.2023 ―
profile
大阪狭山市出身。
姉の彩弥さんの影響で7歳からブレイキン(ブレイクダンス)を始める。小学生のころから世界から注目され、日本最大規模の大会「DANCE @ LIVE Japan Final 2016」や、「RED BULL BC ONE World Final 2020 オーストリア大会」など、国内外の数々の大会で優勝を重ねている。
2023年に開催された杭州アジア大会で金メダルに輝き、2024年パリオリンピックでは4位入賞を果たした。
episode
パリオリンピックで4位入賞。ブレイキンという過酷な競技で最先端を走る半井重幸さんに話を聞きました。
パリオリンピックを応援して下さった方へのメッセージ
時間帯も含めて現地時間と日本時間を考えると、なかなかパブリックビューイングに足を運んでいただくことは難しいと思っていました。しかし、実際の会場の様子を写真で拝見し、こんなにも応援してもらえて幸せだなと感じました。
本当にたくさんの応援ありがとうございました。
緊張をプラスのエネルギーに
パリオリンピックは自分がこれまで立ってきたステージの中でも、本当に一番と言ってもいいくらい緊張感がありました。しかし、表情が物語っていたとは思うのですが、バトル中は本当に楽しんでいました。パリオリンピックという大きな舞台で自分がやってきたことを全力でみせる、ぶつけることができるそんな空間を楽しみ、味わいながら過ごしていました。
オリンピック特有の雰囲気
開会式から現地で過ごしている期間中、実際に会場に足を運ばれる方々だけでなく、たくさんの方がブレイキンに注目し、楽しみにしてもらっているのがとても伝わってきていました。また、オリンピックは正真正銘世界トップレベルの選手たちが選考レースを経て集まり、世界一を決めるトーナメントであるため、緊張感もありました。会場内は盛り上がりと期待感、大会そのもののレベルの高さからの緊張感というすべてが張り詰めている感覚がありました。

パリオリンピックブレイキン・男子(2024年)
写真:青木紘二/アフロスポーツ
“緊張”は努力の証
緊張することはありますが、ステージの大きさや観客の多さによる緊張ではありません。それだけ自分が目標にしていたり、そこに打ち込み、真剣だからこそ生まれる緊張感です。同じ大会でも、自分がそれに向けて大切に準備して過ごしてきていなければ、恐らく緊張もしないと思うのですが、良い意味でそこにかけている分、きちんと成果を出したい、そして結果につなげていきたいという気持ちが緊張感につながっているのだと思います。ただ、その瞬間、現場自体は楽しんで過ごすようにしています。
ライバルであり仲間
バトル中は闘志むき出しで戦っていました。ブレイキンでは、対戦相手のプレイヤーへ敬意を伝える手段としてハグをする文化があるのですが、オリンピックという場でも変わらず、バトルが終了したその瞬間からは、同じコミュニティにいるブレイキンを愛するもの同士、ハグを通じてお互いをたたえ合いました。

パリオリンピックブレイキン・男子 3位決定戦(2024年)
写真:東京スポーツ/アフロ
周りの支えがあったからこその自分
小学生だった当時から、海外遠征などで授業に出られないこともある中で、自由に好きなことに挑戦していく分、学業もおろそかにせず両立していかないといけないという意識が強くありました。担任の先生や、実際に学校で当時教えてもらっていた先生方の理解だったり、サポートがないと、実現しなかった環境だったと思います。実際に自分が授業を受けることができていないところを、日本にいる別の時間に、先生方にお願いして教えてもらうなど、色んな形でサポートしてもらっていました。また、応援をしてもらうことによってメンタル的なところでもサポートしてもらい、自分のモチベーションにつながっていたと思います。クラスメイトも、ブレイキンがパリオリンピックの競技に決定したときやオリンピックを目指しているときからの応援ではなく、「何という名前の大会で海外に行っているのか」、「どんな国に行っているのか」すらよく分かっていない当時から、本当に応援してくれていて、サポートしてくれていたのでとても印象に残っています。今回、機会をいただいて、卒業ぶりに母校を訪れると、当時よりも色々なものが小さく見えて、不思議な感覚でした。それは、体が大きくなったこともありますが、精神面でも大きくなれているからだと思います。今の子どもたちにも、大きくなったときに友達や先生に「今こんなことしてるんだよ」と自慢できるような時間をこれから過ごしてほしいなと思います。

幼少期から変わらないルーティン
毎日のルーティンとして、朝と夜の2回お風呂につかるようにしています。
実家がそういうスタイルだったので、一人暮らしで環境が変わった現在もなお、体のリラックスも兼ねてこの習慣を続けています。海外遠征中もバスタブがついている部屋だと積極的に入っています。
常に前向きな姿勢を忘れない
モチベーションがなくなったということはブレイキンに出会ってから今まで1回もないです。もちろん、試合に勝てなかった、思うようなパフォーマンスができなかったというようなこともありますが、そういうネガティブなことを、そのあとポジティブに変換して前進していくために、立ち止まって向き合うという作業をずっと大事にしています。悔しい結果や経験は理想に対してはマイナスで、「失ったもの」として認識しがちですが、実はそうではなくて、経験としてプラスな「得たもの」だと思うので、落ち込んで終わらせるのではなく、そのエネルギーや経験を次に活かすことは常に意識しています。
直近の目標
ブレイキンはパリオリンピックによって、色んな方に知ってもらい盛り上がり、実際に普及もして、注目度が上がっているところだと思うのですが、今回のオリンピックが存在するしないにかかわらず、常にブレイキンのコミュニティの中で大会は開催されています。オリンピックが終わってそれ以外の何かが終わってしまうものではないので、引き続きプレイヤーとしての自分の姿を見せていきたいです。今後も挑戦し続けて、パフォーマンスはもちろんのことながら、その結果にも注目してもらえたら嬉しいです。具体的には、日本人としてまだ誰も成し遂げていない“Red Bull BC One”という大会での複数回優勝など、前人未到のものに常にチャレンジする姿勢と結果を見せ続けたいです。
またほかにも、子どもたちがブレイキンを始めるきっかけづくりだったり、次世代の子が活躍できる現場づくりに取り組みたいです。自分が今の姿になったのはブレイキンに出会ったところが始まりだと思います。ブレイキンを通して、やりがいだったり、目標を見つけて、常にモチベーション高く頑張れているからこそ、今の姿があると思っています。少年時代の自分のような子どもたちを次の世代にたくさんつくりたいというか、ブレイキンが好き、気になっているという子どもたちがたくさんいると思うので、そういう子たちが夢中になれる環境づくりっていうのは自分ができることの1つかなと思います。子どもたちが魂を燃やして仲間と切磋琢磨し、同世代の子どもたちと手を取り合ってモチベーション高く挑めるような現場をつくり続けていきたいです。

ブレイキンが好きな子どもたちへのメッセージ
ブレイキンに触れて、もうすでに稲妻が走り始めている皆さんには、ぜひ、自分の内側に秘めている魅力を、ブレイキンを通して表現してください。僕もそうだったのですが、人と話すのが得意じゃないという人でも、ブレイキンをやっているコミュニティで仲間をつくることができます。ブレイキンは言葉と同じなのでコミュニケーションが取ることができます。実際に言葉を交わさなくても一緒にブレイキンをすることによって、仲間や友だちが増えます。その小さな喜びが自分自身の成長につながることもあると思います。その成長や、技を探求し、ブレイキンの大会に出て競技のプレイヤーとして頑張るというのも1つ、友だちと一緒に遊ぶ感覚でブレイキンをするのも1つ、ブレイキンを見て楽しむのも1つ、取り入れ方は様々だと思いますが、あなたなりの、皆さんなりのブレイキンを楽しんでもらえたらうれしいです。
この記事に関するお問い合わせ先
市民生活部産業にぎわいづくりグループ
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更新日:2024年10月18日