おおさかさやまで、キラキラ、ひかる。室谷由紀さん ― August.2026 ―

更新日:2026年09月04日

「おおさかさやま」には、夢を描いて、夢に向かって何かに打ち込んでいる人がいます。
そこに性別や年齢は関係ありません。
おおさかさやまの、夢や目標に向かって「キラキラ」ひかる人を紹介します。

 

大阪狭山市特命大使
女流棋士
室谷由紀さん

 

室谷 由紀さん

 profile

大阪狭山市出身。 女流棋士(女流三段)。
高校2年生で女流棋士となる。
女流棋界の主要タイトル戦で通算5度の挑戦者となるなど、トップシーンで活躍。

episode

「将棋」という勝負の世界で第一線を走り続けながら、現在は、子育て真っ只中である室谷由紀さん。
勝負の緊張感と、慌ただしくも愛おしい育児の日々を行き来する中での「心ほぐれる瞬間」や、母校のある地元・大阪狭山市への変わらない思いを伺いました。

 

完璧をめざさない。育児と将棋、それぞれの向き合い方


昔は、将棋を含めて全部を「完璧にしたい」という性格で、中途半端が嫌でした。でも、出産を経て「将棋」も「育児」も両方で完璧をめざすのは難しいと気づきました。「80%ぐらいの感じで、できなくてもしょうがない」と、無理をしすぎないように「全部完璧にすること」をやめました。その時々で優先順位を変えながら、メリハリをつけて取り組んでいます。

将棋は粘り強く指さないといけないのですが、子育てもまさに同じで「思い通りにいかないことだらけ」です。でも、子どもから新しい発想を学んだり、成長する姿を見ると「自分も頑張ろう」と、大きなモチベーションになっています。

また、対局に臨むときは、私生活をそのまま持ち込まないように意識しています。ギリギリまで育児をして家を出るので、最初のうちは気持ちの切り替えが本当にしんどかったのですが、なるべく早めに対局場の近くに着いて、カフェで集中する時間を作るなど、自分なりのスイッチの切り替えを大切にしています。
子どもから風邪をもらうかもしれないですし、体調管理をするだけでも本当に一苦労で、スケジュール通りにいかないことばかりです。
だからこそ、無事にその日を迎えて当たり前に対局場に行けること自体が、今では本当にありがたいなと感じています。「よし、今日も無事に座れた!」という気持ちで席につき、目の前の対局に自分のできる100%を出し切り、1局でも多く指していきたいと思っています。

 

イベントで将棋を教える室谷さん

大阪狭山市は、時間がゆっくり流れる、私にとっての「ほっとできる場所」


帰ってきたら100%行くのは、やっぱり「狭山池」ですね。家族みんなで散歩に行くのがルーティンです。狭山池まつりで、通っていた教室がやっていた将棋大会に出たり、マラソン大会で走ったりした思い出もあります。

そして、今回訪れた母校の北小学校も、私にとって大切な原点です。今もあんまり変わっていないんですけど(笑)、子どもの頃からとにかく活発だったんですよね。
小学校1年生のときに姉についていって将棋の子ども教室に入り、最初はルールも難しくてなかなかピンとこなかった将棋。そんな中で、この北小学校で行われた団体戦に「人数合わせ」として急遽出場することになりました。「動かし方をやっと覚えた」ぐらいのレベルで、その大会が終わったらやめようと話していたのですが、そこでまさかの準優勝。賞状や盾をもらったのが嬉しくて、「ラッキー!」と面白くなって将棋を続けられました。あのときがなければ今の私はありません。

大阪狭山市は、勝負の世界の「3倍速」な日常から離れて、時間がゆっくり流れるような、本当にほっとできる場所です。開発されて変わっているところもありますが、根本は変わらず温かい。ここに戻ってくると、すごく安心します。

 

「公園がすぐそこにある」子育てしやすいまちの魅力


実際に子育てをする中で、大阪狭山市に帰ってきて感じるのは、とにかく自然が多くて公園がめちゃくちゃ多いということです。「ちょっと公園に行ってくるわ」ができるのがすごく良いですね。
まだ行けていないところもあるんですが、色々な公園に行っています。リニューアルした「副池オアシス公園」も、インクルーシブな遊具があると聞いて、ぜひ子どもと一緒に行ってみたいスポットです。

また、この時期に帰省したときは自分で買ったり、帰れないときでも、母に「買っといてな」とお願いして送ってもらう「大野ぶどう」は、大阪狭山市の夏を彩る、ふと恋しくなる大好きな味です。

 

母校の大阪狭山市立北小学校から外を眺める室谷さん

子育てを通じて気づいた、「歩(ふ)」のような大切さ


子育てをしていると、子どもから新しい発見をもらったり、自分の価値観が大きく変わったりすることを感じます。一番の驚きは、好きな駒への思いが変わったことです。

昔は、好きな駒を聞かれたときは「飛車」と答えていました。自分が好きな戦術でよく飛車が動き回るからなのですが、娘の姿を見ているうちに、最近は「歩」がすごくかわいく見えてきたんです。
一番小さくて不器用で、一歩一歩しか進めない。でも、一生懸命に生きる娘の姿とそれが本当に重なって。パンッとダイナミックに動く「飛車」はもちろん良いけれど、不器用ながらも一歩ずつ着実に進んでいく「歩」の良さに、子育てを通じて気づかされました。
将棋の奥深さとはまた違った温かい視点を、子どもに教えられている気がします。

 

「あのときこうすれば…」を残さない。後悔しないための選択


私が大切にしているのは、「後悔をしないように生きる」ということです。自分が「やりたい」と思ったことは、全てやるようにしています。

将棋の指し手でも、「こう指してみたい」と思ったらどうなるのか試したくなってしまう性格で、「あのときこうしておけばよかった」と後悔するのがとにかく嫌なんです。
良い手か悪い手か分からないけど、どうなるんやろうって気になって指しちゃうんですよね(笑)。

何が正解か分からなくても、自分の気持ちにまっすぐ挑戦し続けることを大切にしています。

 

インタビューを受ける室谷さん

子どもたち、夢に向かう人たち、そして子育て中のママ・パパへ


何かを始めるにしても、まずは「楽しむこと」が一番大切だと思います。
「しんどい」と思いながらでは長く続けられないので、あんまり思い詰めずに気楽に、いろんなことに挑戦してほしいですね。強くなることや、上手くなることも大切ですが、まずは「楽しい」と思う気持ちを忘れないでほしいなと思います。

そして、同じように日々の育児に奮闘されている大阪狭山市のママやパパたちへ……と言いたいところですが、私自身も新米ママで、分からないことだらけで毎日必死です(笑)。頑張りすぎると本当に子育てはしんどくなっちゃいますからね。
一人で全部を抱え込まず、家族や周囲のサポートに頼りながら、一緒に気楽に進んでいけたらと思っています。

 

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