おおさかさやまで、キラキラ、ひかる。寅貝真知子さん ― November.2025 ―
「おおさかさやま」には、夢を描いて、夢に向かって何かに打ち込んでいる人がいます。
そこに性別や年齢は関係ありません。
おおさかさやまの、夢や目標に向かって「キラキラ」ひかる人を紹介します。
大阪狭山市特命大使
フォトアーティスト
寅貝真知子さん

profile
大阪狭山市にゆかりのあるフォトアーティスト。
写真を素材として再構成し、色や質感で描くように表現する技法“ローレフォト”を考案。実際に撮影した写真だけを素材にしながら、異なる時間や場所を重ね合わせることで、現実には存在しないファンタジックな世界を描き出し、これまで国際的なフォトコンテストで数々の賞を受賞。
episode
市制施行30周年記念誌にローレフォト「大阪狭山市の四季」を提供。また、大阪・関西万博「南河内LIVE ART EXPO」においても、狭山池を舞台にしたローレフォトVR作品を提供するなど、芸術分野で活躍されている寅貝真知子さんに話を聞きました。
心を癒す場所、狭山池
大阪狭山市に住んでいた時、私は狭山池が大好きでした。毎日のように散歩していて、特別な思い入れがあります。狭山池は、どの時間帯に訪れても多くの人がいて安心感があり、気持ちがモヤモヤする日でも、池を一周することでスッキリしました。そして、「また明日から頑張ろう」と前向きな気持ちになれた場所です。
また、大阪狭山市は「住みやすいまち」で、まちがコンパクトでスーパーや駅近くに住居も多く、便利な環境が整っていると思います。
今回、大阪・関西万博の「南河内LIVE ART EXPO」での作品作りを通じて市内のさまざまな場所を撮影しましたが、特に印象に残ったのは天野街道です。豊かな自然に囲まれ、歩くだけで歴史を感じられる、非常に気持ちの良い場所でした。
そんな大好きな狭山池や天野街道などがある大阪狭山市に特命大使として関わることができ、とても嬉しく思っています。

ローレフォトの誕生とその哲学
ローレフォトは、デジタルカメラが登場したことにより生まれました。私が写真の世界に入ったとき、フィルムで現像や写真を撮る工程を学んでいましたが、デジタルカメラの登場により写真の世界に大きな変化が訪れました。フィルムでは、きれいに撮るために多くの工程を重ねる必要がありましたが、デジタルカメラでは、ボタンを押すだけで簡単にきれいな写真が撮れるようになりました。この変化を受けて、私はカメラマンとしてどのように仕事を続けていくべきか、そしてどんな付加価値を加えていけるのかを考えました。
その結果、デジタルカメラの特長である「何枚も撮影して、それを組み合わせる」ことができるという技術に注目しました。フィルムではできなかったことをデジタルで表現し、それによって自分の作品に新しい魅力を加えられると感じたのです。こうして、デジタルの特長を活かした作品作りを進めていこうと決めました。
最初は、ポートレート撮影を中心に行っていました。ポートレートを撮影する中で、被写体である人が持っている「物語」を写真に込めたいと思うようになりました。その人が好きな風景や、表現したい気持ち、今の自分がどうありたいかを聞き、それをもとにその人自身の物語を作る感覚で撮影をしていました。このアプローチがローレフォトというスタイルの確立に繋がりました。
今はポートレートだけでなく、風景なども題材として作品を作っていますが、1つの作品にその人や場所の歴史や文化などの物語を込めるために、様々な角度から被写体と向き合うことは変わっていません。
作品を作る上で共通した思いや考え方
子どもの頃、毎日が新しい発見の連続で、初めて見る景色や訪れる場所など、すべてが新鮮で楽しいものでした。
でも、大人になるとその「初めて」を感じる機会が少なくなり、同じような景色や経験を繰り返すことが多くなります。だからこそ、私は大人になっても、物や景色との「初めて」の出会いを大切にし、それを楽しんでいます。
作品を作るとき物や風景と向き合い、深く掘り下げることで、新たな魅力を見つけることができます。初心を忘れずに、「初めて」の感覚で取り組んでいるので、常にワクワクした気持ちで作品を作っています。
また、私は作品作りの中で「奇跡」のような瞬間を待ち望んでいます。これは宝くじのような偶然ではなく、創作の「過程」で試行錯誤を重ねる中で、まるでパズルのピースがぴったりと合うように、自分の中で満足のいく作品が生まれる瞬間です。そうした「奇跡」を探しながら、作品を作り続けています。
フォトアーティストとしての魅力と厳しさ
私にとって、写真を撮ることは「今」を味わうことそのものです。父からもらった一眼レフのカメラで初めて夕日を撮ったときの感動は、今でも忘れられません。肉眼で見る景色は一つですが、カメラを通すと同じ風景でも何十通りもの異なる表情を捉えることができることに気づきました。その発見がとても楽しく、写真を通して日常の景色がまるでファンタジーのように感じられるようになりました。
ローレフォトの魅力は、「今ここにあるもの」をさまざまな角度から味わうことができる点です。特別な場所やものを撮影するのではなく、日常で出会うような瞬間をカメラを通して切り取り、別々の時間や場所を組み合わせて、現実の制約を超えた架空の世界を作り上げることが本当に楽しいです。
ただ、作品を仕上げるときには悩むことも多いです。作品にしっくりこず、構図を変えたり、さまざまな要素を組み合わせ直したりして、何度もやり直すこともあります。それでも、時には最初に思いついた構図が一番良かったと気づくこともあるので、最終的にどこで着地点を見つけるか、いつも試行錯誤しながら作品を作っています。
好きな言葉「明日を楽しみに思えるかどうか」
自分の信念にしている言葉は、「明日を楽しみに思えるかどうか」です。私はこの言葉を振り返りながら、日々の選択を考えることがあります。
今の自分は、過去に自分がしてきた選択の結果だと思っています。例えば、明日仕事に行きたくないなど、何かに対して嫌な気持ちを抱いたとき、それは過去に自分が選んできた道が良くなかったのかなと感じます。だからこそ、「明日を楽しみに思えるかどうか」というのは、今まで自分がどんな選択をしてきたかが大きく影響しているのだと思います。
今の自分が「明日に向けて楽しみな選択」をしているかどうかを指針として今を生きています。

子どもたちや夢を追いかける人々へのメッセージ
子どものころ、学校の行き帰りに道端の草を取って遊んだり、日常の中でたくさんのワクワクを感じていました。その頃の「楽しさ」や「ワクワク感」が今でも自分の中にあり、写真を通じてその感覚を追い続けています。子どもの頃のワクワクが今の仕事にも繋がっていると感じます。
もちろん、悲しいことやうまくいかないこともありますが、それも振り返ると、今の自分を作っている大切な経験だと感じます。すべての出来事が繋がって、今の自分があるんだと思います。
そういう自分の気持ちと向き合って、受け止めていくことが大切だと思います。
この記事に関するお問い合わせ先
市民生活部産業にぎわいづくりグループ
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更新日:2025年12月01日